<雑記>ゴールキーパー本という救い

雑記

最近、空前の読書ブームが来ている。

そもそもこのブログのタイトルは「かえる文学」であり、本を扱うコンテンツが多いはずなのだが、いかんせん、この世は欲望の無限回廊、選択肢もまた多し。

漫画にゲームや映画、はたまた旅など、私の興味は一か月単位で移り変わり、その変化は四季すら上回る花鳥風月←意味不明

ゆえに「今月はあんまり本を読んでないなあ」と思う月も結構あったりするのである(自作の長編を書いているというのもあるよね)

しかしそんな私は、四月に入り、俄然本を読んでいる。

ハードカバー本では、スティーヴン・キングの「異能機関」の上下巻を買い、「三体」を書いた劉慈欣の「白亜紀往事」を買い、両方ともかなり面白かった!(いずれ書評をする模様)

そして文庫本では、村上春樹さんの「一人称単数」を読み、これも面白かった。

私は春樹さんの本はどちらかというと長編の方が好きな「長編派」である。しかし今回の短編はそんな無意味な派閥意識を吹き飛ばすほど、刺激的であり、村上さんの現在地点と、哲学や思想の結合点みたいなものが見えて、非常に興味深い、読書体験であった。

そんな私はさらに今更ながら、夢野久作ブームが来ている。

夢野久作に関しては、一番最初の頃「考察」で、「女坑主」という短編を取り上げ、また去年、日本三大奇書の一つ「ドグラ・マグラ」を書評したのだが、とにかく他の短編も面白いのである。(夢野さんに関しても何かしらブログで取り上げます)

さてさて、そんな恵まれている読書ライフを送っている様に見える私なわけだが、実は結構、本を外すこともある。

このインターネット社会において驚くべきことに、私はほとんどの本を本屋で買っている。

なぜなら私は新しい町に行った時に、真っ先に本屋を探す位、本屋という空間自体を愛しており、もはや私にとってその空間は教会とかモスクみたいな神聖な何かだからだ←言い過ぎなようで割とガチ

何も買わなくても無意味に本を眺めながら、口半開きでゾンビのようにその空間をぬらぬら回ることで、日々の邪気が不思議とデトックスされていくのである←本屋はいい迷惑かしら

そんな感じなので、タイトルだけを見て直観で本を買うことも結構多めであり、新しく買った本をいざとばかりに読み始め、2ページくらいで「これ思ってたのと違うぜよー」となることも実はかなりある。

少し前までは、こういう本はそのまま自宅の本棚に積み、いつのまに忘れ去られ、どっかのタイミングでブックオフに売るという流れが主流であったのだが、最近私はこの流れを完全に断ち切る新しいシステムを構築したのである。

そしてそのシステムは、私が抱える病と密接に関係している。その病の名は「物語欠乏症候群」である。

この病は、常に自分のリュックに非日常へとダイブ出来る物語が無いと、その恐怖から手足が震え始めるというものであり、私はとても面白い本を読んでいる途中でも、その本が半分くらいになるに至り

「まずいあと数時間で、私を支える物語が切れてしまう!」

という思いがよぎり、その恐怖から、本に集中出来なくなるという本末転倒な事態に陥るのである。

これは本や活字が無いと、自分という空白に耐え切れないという私の無意識の発露なのだと思うが、この無意識の病巣を解決してくれるのが、何を隠そう先ほどの積み本たちなのだ。

その方法は実に簡単である。自分が微妙だと感じ、あまりページが進まない本を、常に今読んでいる本と一緒に入れておく、たったそれだけ。

そしてこれこそが私が生み出したゴールキーパー本戦略なのだ。

自分が面白い本というのは読むスピードがアップするので、買っても買ってもすぐに本が無くなるという状態に陥り、本の飢餓という恐怖は消えない。

しかし積んでいた本は、ページが進まないから積んでいるわけで、こんなにも本が無くなった時のゴールキーパーとして最適なヤツはいないのである

そもそもゴールキーパー本に関しても、今の自分が面白くないと感じるという理由には、自分の感性がその本に追いついていないという可能性が大いにある。

また自分が面白いと思う安パイなものばかり見るという事を続けていると、逆説的に世界が狭くなっていくということも起こる。

言い換えると、自分を震わせる新しいものは、つまらないとか微妙だと思っている物の中にあるかもしれないわけなのだ。

つまりこのゴールキーパー本制度は、その新しい扉を開けてくれる可能性を秘めている上に、積んだあげく売りに出す本もなくなるという一石二鳥なシステムなのである。

そうするといつの間にか、ゴールキーパーだった本が、ぐいぐい敵陣に攻め込み、カリスマトップ下本として華々しく大転生し、活躍することもあるわけで、それは自分にとっても世界観の裾野を広げてくれることに大いに繋がると思うのだ。

私はこれからも本との関係を常に考え、双方にとって満足のいく、ウィンウィンな状態で、末永く共存していきたい所存なのである。

何だかよくわからないモノを目指し、ブログやってます
本の書評や考察・日々感じたこと・ショートストーリーを書いてるので、良かったら見て下さい♪

かえる文学をフォローする
全記事雑記
シェアする
かえる文学をフォローする
タイトルとURLをコピーしました