<雑記>部屋と官位と私

雑記

私は、律令制度下の「官位」を愛しています。

これは大学生の時の大河ドラマブームで学校を1週間程度さぼり、一気に5つ位の作品を見たとき以来、ずーっと続いており、もうかなりの年数、愛は冷めずにそこにあるのです。

特にいいのが響きです。

「汝を従五位下、○○頭に任ずる」

このジュゴイノゲという響き、ジュウをジュと略してしまう「独特の音の感触」がたまらないのです。

また○○カミのカミというのも、歯ごたえがあるようで、どこか間抜けな感じがたまらなく愛おしくなります。



しかし勘違いしては行けません!

「官位とか位が好きってことは、勲章とかが好きってことでしょー、令和のこの時代にアップデート出来てなくて、ダサすぎーー」

と思ったそこの殿方!!

それは勘違いというもの、私は国からもらえる紫綬褒章とかの栄典とか、なんやかんやのものはまるで興味がないんです(逆立ちしても何をしても、そもそももらえない笑)



悲しいことに私と国家というものはことごとくテンポとリズムが合わないのです。



ここで、悲しき嚙み合わないエピソードを二つ紹介します。




あれは学生時代、友達の家で徹夜でゲームをした帰り道のこと。

汗もかいたし服を着替えたいなあ、と思ったものの、なぜか入っているのは七分丈ですらなく、がっつり膝上までの半ズボンだけでした。

仕方なくそれを履いて駅まで歩こうとしたものの、冬だったのでいかんせん寒い!

とにかく温まろうと思い、駅までの道を半ズボン姿かつ寝ぐせ全開で、リュックを背負ったままランニングして走っていったところ、がっつりお巡りさんに職務質問されました。

一通り荷物を調べられ疑いが晴れた後、哀れな者を見る様な顔で

「これからは変な恰好で歩き回らないように」

という言葉を残しお巡りさんは去っていきました。



そのあと電車に乗ったものの、なんだかとても自分が惨めになり、電車から下りた帰り道に、ピュレグミを噛みしめながら涙したのを今でも覚えています。(味は確かグレープ味)




次のは、社会人になってからの話です。

カフェで読書していたところ、ふとトイレに行きたくなりました。

店内のトイレに行き、すっきりしたあと戻って読書を再開した私。

さて本も読み終わり、外へ出ようとしたとき、その時になり目の前にあった自分のバッグが消えていることに気付きました。

財布も携帯もそこに入れていた為、一文無しになった私は、交番に駆け込みます。


対応してくれたのは、40代位のメガネをかけた少しやんちゃそうな巡査さんだったのですが、最初からなんかめちゃくちゃ面倒くさそうでした。

そして、経緯を説明したところ。


「へえ、トイレから戻ってきて気付かなかったんだ。普通気付くけどね」


このセリフを言った時の、彼の蔑むような表情を私は一生忘れません。


以来、私は警察官や、何だか偉い感じの人を見る度に背筋に緊張が走り、呼吸が鼻呼吸から、完全口呼吸になってしまう位、警戒するような体になってしまったのです。





以上が私と社会の、不幸にして悲しい交流のエピソードですが、しかしそれとは別として律令制の「官位」だけはどうしても愛してしまうのです。



そんな私が部屋で暇なときにやっているのが、「官位授与ごっこ」です。

これは、私の部屋にある身の回りの家具などに、勝手に官位を授与する脳内遊戯の一つで、ざらに一時間は暇をつぶせます。

昨日も数々の物たちに官位を授与しました。


まずは「マグカップ」です。

これは3年前に買ったもので、真っ白なボディに大きく英語で「HAWAI」と書いてある陽気なヤツなのです。

部屋での水分補給を一手に担っており、アイスコーヒーの残りに麦茶を入れられたりと傍若無人な目にあいながらも、ついてきてくれた彼には是非いい位をあげたいところ。

「正三位、大納言」くらいはあげていい気がします。


しかし、ここでふと頭によぎるのが、マグカップが犯した失態の数々です。

私が、完璧な動作でカップを運んでるにもかかわらず、なぜか手からマグカップはたびたび落ちます。

ある時はお茶、ある時はコーヒー等、床にある染みが彼の失敗の歴史を物語っています。

万が一、万が一ですが、私の持ち方に問題があるとしても、そこをカバーしてこそマグカップが普通のカップと違い、「マグ」である存在理由でしょう。(自分でもさっぱり)

となると大幅に降格せざるを得ません。

正六位、マグカップ助(まぐかっぷのすけ)が関の山でしょう。



お次は本棚ラックです。

私の蔵書を、力強い筋肉で支えている彼は、私の知識や思考の重要部分を支える大事なパートナーです。

「従二位、右大臣」くらいの働きはしています。


しかし待てよ・・・

このラックは、本を支える部分が1センチくらい付いていて、あとは後ろが空いているタイプなのですが

こんなに繊細に本を扱い、戻しているにも関わらず、たまに後ろを見ると5冊くらい本が無造作に落ちているのです。

ここに私は、本棚の悪意を感じます。

確かに片手で勢いよくバンッて本を戻すこともありますが、それで落ちるということは考えられません。

これは何か陰謀のにおいがプンプンします。

こうなると仕方がありません。


従六位下、ラック権助(らっくごんのすけ)で我慢してもらうほかありません。



さてお次は「冬物のコート」です。

寒かった冬を全力で支えてくれた彼への感謝は海よりも深く、山よりも高いことは論を待ちません。


・・・おや、しかし今コートを見ると、なんと「蜘蛛の巣」がついてました。


私が、こんなに四方や八方に注意をして、忍びのような緊張感で道路を歩いているのに、これはどうしたことでしょう。

思い返してみると、家に帰ってコートを見ると、謎の木の枝が付いていたり、茶色い葉っぱの粉がまぶされていたりしたことは思い出すだけで、15回くらいはあります。

確かに私は、良く分からない道や林道を通りたくなる傾向を持っていますが、忍びの魂を持つ私の注意不足なはずがないのは、火を見るより明らかです。

こうなるとこれは軽い謀反です。


これでは官位どころではなく

菅原道真のように大宰府に左遷させるしかありません。


ここに大宰府左遷冬物晴着を命じます。



さて気を取り直して、お次は「ベッド」です。

言うも待たず365日の、活動の源の睡眠を支える彼には

「正二位、左大臣」を授与するのは当然のことでしょう。

そう思っていた矢先に私の脳内に数々の映像がフラッシュバックします。

そう私が、悩まされ続けてきた悪夢の数々です。


その中でも、一番の地獄絵図だったのは、体調が悪くなりゲロを吐きそうな私の周りを無数のピクミンが取り囲み、ひたすらおどるポンポコリンを歌い踊り続けるという狂気の映像です。

今でも月に1、2回はあの映像を思い出します。

バランスと調和の思考を旨とする私の頭脳が、そんなわけのわからん夢を見るはずがありませんから、これはベッドが起こした本能寺の変、もといポンポコ寺の変の可能性が高いです。

これも左大臣どころではいのは当たり前で、切腹でしょう。


西洋式寝板敷布団横一文字切腹を命じざるを得ません



しかし、ここで振り返ると、私の周りの者はほとんどが低い官位か、罪人しかいなくなってしまった感があります。

しかし、最後は安心です。

そう何を隠そう、これを書いてる「マイパソコン」君の登場だからです。

このブログもとい、様々なことを担っている私の精神の柱・・・

ここはもう

「正一位、太政大臣」しかありえません。



・・・しかしです。


「いつもこんなくだらないことを書いている私を、こいつは馬鹿にしているのではないか」

ふとそんな考えが頭をよぎります。

そんなことはないと、くだらない考えを捨て去ろうとするものの。


誤字脱字を伝える音が、私のパソコンだけ大きいのではないか・・・


くだらないこと書いているタイミングで、いつもよく分からない通知がくるのは私を馬鹿にしてるのではないか・・・


一度考えると疑惑が尽きません。

前の日、確かに充電した気がするのに、コンセントがささっていなかったのは、コンセントと示し合わせて私をあざ笑おうとしていたのではないだろうか。


・・・悲しいけど、これはクロでしょう。


しかし彼とは二人三脚で、これからも頑張っていかなくてはならないのもまた事実。


とりあえず謀反には目をつむるとして、官位の上位を与えるのは他に対する示しがつきません。

仕方がないので官位の外の

征夷大PC将軍でお茶を濁し、満足してもらうしかありません。



さて今回はこんな結果に相成りましたが、いつの日か、部屋の物たちと信頼関係を築き、彼らが望むような官位を授与したいと思います。

そんな日が来ることを信じ、今回の雑記を終えます。

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