<書評>「都市と星」 光と闇にまみれながら、それでも求め続ける力

雑記

「都市と星」はイギリス出身のSF作家、アーサー・C・クラークさんの長編小説です。

アイザック・アシモフさん、ロバート・A・ハインラインさんと並び、世界三大SF作家の一人であるクラークさん。

あくまで個人的な感想ですが、全員が魅力的なのは前提の上で、三大作家の中ではクラークさんの作品が、インパクトや重厚さという点において一つ抜けているのではと思っています。

クラークさんの作品では本ブログにおいて「地球幼年期の終わり」を考察しています。

↓「地球幼年期の終わり」の考察

私はこの「地球幼年期の終わり」がマイベスト海外SFであり、読み終わった時に放心状態になるほど感銘を受けたのですが、本作もまたクラーク作品の共通要素もありながら、全く違う魅力を放つ傑作です。

↓本作のあらすじ

遥か未来、銀河帝国の崩壊により地球に帰還した人類。

そこで彼らは誕生や死を全て管理し再生産する驚異の都市、ダイアスパーを作り上げます。

外の世界を切り離し、安定の中で都市生活を送る人類ですが、そこで暮す一人の少年アルヴィンは、未知の世界の憧れを抱えて、都市の謎やその過去、そして外の世界や真実へと迫っていく・・・

そういう物語です。

本作は一人の少年が、知的好奇心を元に、都市の真実や人類の歴史に迫っていくという王道的なジュブナイル小説の型を採用しています。

サイバー要素満載の人工都市、謎の石柱の遺構、外に広がる世界などなど、RPGゲームのようなイメージも強く喚起されます。

その意味で壮大な冒険物語が好きな私にとって、本書のワクワク感は力強く、背中を押されるようにすらすらとページが進んでいきました。

「地球幼年期の終わり」が、個人の物語、社会の変化や成熟、哲学的で思弁的な展開が折り重なりラストへと向かう小説だとすると、本作はジュブナイル的冒険物語が主軸にしっかり据えられています。

本作もスケールは壮大で、クラークの「我々はどこから来てどこへ行くのか」というテーマ性は健在です。それが少年の心の成長の中に織り込まれ、しっかり描かれているのも本作の魅力の一つだと思います。

また本作においては、過去や未来の出来事について意図的に明かさなかった部分があるように個人的に感じました。

それは読者の未知のものへの想像力を喚起することが目的だと思うのですが、本作がすごいのはその想像力や好奇心の、闇の側面もしっかりと描いていることです。

外の世界、新しい世界を始めることは、前の世界を終わらせることでもある。そして惑星の中では太陽が当たる場所がある一方で、当たらない場所があり、その立場も入れ替わっていく。

それは光と闇が同時に存在し、一つの出来事に様々な側面がある証左かもしれません。

その意味で好奇心や想像力の向かう先に光があるのか闇があるのか、もしくはその両方なのかは分らない、しかしそれでも人類は想像し外へ向かっていかざるを得ない。

私は本作を読んで、そんなことを思いました。

出来れば今年中に、マイベスト映画の一つである「2001年宇宙の旅」のクラークさんが書いた原作を読みたい、そう思っている今日この頃なのでした。

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本の書評や考察・日々感じたこと・ショートストーリーを書いてるので、良かったら見て下さい♪

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