<雑記>「かがみの孤城」がすごい

雑記

最近SFばかり読んでいるので、ちょっと違うジャンルを読みたいと思った私。

そんな時に目に入ったのが、辻村深月さんの「かがみの孤城」です。

辻村さんの作品は、登場人物のキャラクターがとても良いのと、作品に作者自身の優しさが滲み出ているので、とても大好きでほとんど読んでいるのですが、いかんせんブームや気分の起伏が激しい私。

トーマス・マンを読もう期、SFを浴びるように読もう期などがラッシュの如く続いていたため「かがみの孤城」は読もう読もうと思って読めていませんでした。

しかし書店に行ったところ、「かがみの孤城」の文庫版が出ていたのを見て、これを機に読もうと思い購入したのです←なのにハードカバー版をあえて買ったひねくれものの私

さてカフェにいって優雅に読もうと、いつものカフェに行きカフェラテを頼み本を開く私。

しかしその優雅さは数時間後崩されることになります。

そうですカフェにて私は

大号泣してしまったのです。

「かがみの孤城」はまじで最高だ・・・・

この作品は、同級生からのひどい仕打ちが原因で、引き籠りの生活を続けている中学一年生の女の子「こころ」が、ある日自分の部屋の鏡が光って、その向こうに入るとそこには華麗なお城があり、そこには自分と似た境遇の中学生たちがいて、彼らとともにお城に眠る、願いが叶う部屋とその鍵を探していくという小説です。

内容的にファンタジーが強い印象を受けると思いますが、どちらかというと人間の心の動きに比重が置かれているため、ファンタジーが好きな人も苦手な人もどちらも楽しんで読める内容になっています。

この作品を読んで思ったのはこれは辻村さんの集大成的な作品だということです。

かつて色んな著名人が学校に行けない子たちに向けてのメッセージを綴った本の中に辻村さんも寄稿していて、それを読んだことがありましたが、デビュー作の「冷たい校舎の時は止まる」も学校をテーマにしたものでしたし、辻村さんの中には学校に対する色んな思いがあるのだと思います。

というよりは日本人の中には学校に対する思いが強くあると思うのです。

多くのコンテンツが青春や学園を扱っており、また大人になって社会に出る前のモラトリアム期間であることもあり、日本人の心の中には青春や学校というものがかなりの比重で刻まれていると思います。

そんな中で本作はいろんな事情で「学校に行けない人」に向けて、そしてその人たちの心を救う決定版みたいな小説です。

テーマが重い内容であり、登場人物が人間のリアルな闇を抱えながらも、しかしその根底には辻村さんの優しさという軸が貫かれているので、読み進めていくうちに気持ちがどんどん人物に乗っかります。

そして辻村さんフリークの私からすると展開がある程度予想できる部分もあるのですが、それが当たったとしても残念なのではなく、キター!という感じで、さらにその瞬間心を射抜かれて涙が流れるというループを繰り返すことになるわけです。

本作は、主人公と仲間の繋がりや、色んな事が起きる理由がとても上手く繋がっており、それは上手いことパズルを繋げたような技巧的な話で終始ぜずに、その完成度が優しさに直結しているという、本当にすごい小説です。

自分は自分の思いや発想をぶちまけるだけぶちまける、自分勝手な尖った作品も大好きですが、ここまで読者に対して優しいプレゼントを届ける作品を書ける辻村さんを心から尊敬します。

独特な思想や、尖った思いが具現化した素晴らしい本が沢山ありますが、この本は想いや優しさという点でその尖った作品たちに肩を並べている、むしろ追い越しているとも感じます。

そんなわけで、私は今、SFブーム、ペルソナブーム、に加え辻村作品ブームにも再突入しているわけです。

「かがみの孤城」については、考察でじっくり取り上げたいなあと思ってます。

何だかよくわからないモノを目指し、ブログやってます
本の書評や考察・日々感じたこと・ショートストーリーを書いてるので、良かったら見て下さい♪

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