<雑記>SF熱!「ルナ・ゲートの彼方」「三体」

雑記

最近、SF熱が冷めやらない!

私は、夏になるとSFが読みたくなりSF作品をどっさり買って家で読むということを毎年ルーティーンのようにおこなっているのですが、今年は秋になる今でもそのブームが続きSFを読みまくっています。

というのも最近読む本がことごとく面白く全く外していないというのが大きい気がします。

まず最近読んで面白かったのが「ルナ・ゲートの彼方」というSF界のビッグスリーの一人のロバート・A・ハインラインさんのジュブナイルSF小説です。

これは恒星間ゲートが作られて、人類は宇宙の外へ行けるようになり、重要な地位に就くためには無人の惑星を探索するサバイバル能力が求められるようになっている世界の話です。

主人公のロッド・ウォーカーは、48時間以上10日以内の期間において生存していることが合格条件のサバイバル試験を受けるのですが、何の手違いか無人の惑星に行って、何日経っても帰りの回収のゲートが開かれません。

そしてロッドは、そこで出会った他の試験を受けている生徒たちと協力して、その惑星を生き抜く方法を模索していく、というような話です。

非常に王道の展開ながら、出るキャラクターが個性的で、とても楽しく読める作品なのですが、本作のすごいのは安易なご都合主義的な展開を排除しているところです。

ロッドが作った共同体が政治性を帯びてきて、権力闘争の舞台になったり、そことそこがくっつくのかい!というようなリアルな恋愛や、ラストの展開など、この本は子供が読んでも楽しさの中に、社会の複雑さを学べるように作られていて、とても広がりがある作品なのです。

ハインラインは1947年から58年までの12年間、クリスマスシーズンに一冊ずつ、質の高いジュヴナイル長編を出していたとのことらしく、本作もその一つなのですが、このエピソードは作家として少年・少女へ全力でプレゼントを捧げようという思いが伝わり、本当に素敵だと思います。

他の11冊を全部読む!という新しい読書目標も出来て、それも含めて最高の読書体験でした。

そして私はとうとう「三体」の全三部全てを読破しました。

「三体」は中国のSF作家、劉慈欣さんの長編小説で、言わずと知れた全世界を席巻した作品です。

思えば何年か前に第一部を読み終え、面白さに感動したのにもかかわらず、ようやく今全てを読み終えたわけで、毎度ながら「何でもっと早く読まなかったんだ!愚か者!」と自分に毒付きたくなります。

私がなかなか二部と三部を読み始めなかった理由は、量と値段の問題があります。

そもそも私が第一部を読んだときは、第一部しか日本語版が出ていなく、買う時も一冊分のハードカバーの代金で良かったんですが、しばらくして二部が出てくると上下巻でありハードカバー二冊分だったのです。

私の金銭事情的や精神的に、ハードカバー一冊というのは自分のご褒美にするりと買えるラインなのですが、二冊になると一気にドキドキ感が増します。

そしてそのドキドキ感に負けてずるずるしてるうちに、第三部が出てしまい、全てを買うにはハードカバー四冊分という、巨人の如く高いハードルになってしまったのです。

「毎月一冊ずつ買えばいいじゃん」

と思うかもしれませんし、実際に周りの人はそう言いましたが、私の厄介な精神の特質として

「シリーズものは全て一気に買わないと気が済まない」

という特殊能力があるのです。←能力どころか枷である

これは読み終えて続きが読みたい時に、手元に無い状況というのが耐えられずに、続きが全部ある状況でないと落ち着いて読書出来ないという、欲望に打ち勝てない精神の発露なのですが、そういう人間なんだから仕方ありません。←改善する気がまるでない

とはいうものの「絶対どこかで読まないとなあ」と思ってはいたわけで、今回少しまとまったお金が入ったので、一気に全四冊を買ったわけです←案の定めちゃくちゃドキドキしました

本作のあらすじとしては、三つの恒星の働きのせいで数百回の滅びを繰り返す過酷な世界で生きていて、その過酷さゆえに地球よりも数段上の文明を有している三体星人と地球との戦いを描いた作品です。

第一部の段階で相当面白かったのですが、中国の文化大革命などの政治背景や、SF理論で読みにくいと思う人もけっこういたらしいです。

しかし今回読んだ第二部では、謎や心理的駆け引きに重点が置かれており、読むたびに裏切りと発見が重ねられていく楽しみがあり、第二部が日本でかなり評価されているのはうなずけました。

サブタイトルの黒暗森林という言葉の意味は深く脳に刻まれ、最近はことあるごとに黒暗森林について考えてしまいます。

そして第三部に至りスケールが大幅に飛躍し、まさに

「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」を地で行くSFになります。

小松左京さんの「果しなき流れの果に」や光瀬龍さんの「百億の昼と千億の夜」のような壮大なスケール感は、これこそSFでしか体験できない極上の時間を提供してくれます(上記二作も最高なのでぜひ読んで欲しい)

そんなわけで当分私のSF熱は冷めそうにありません。

また面白い小説を読んだら感想を上げていきます。

何だかよくわからないモノを目指し、ブログやってます
本の書評や考察・日々感じたこと・ショートストーリーを書いてるので、良かったら見て下さい♪

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