最近変な人が増えてきた。
まあ、何を隠そう私自身が変な人なので、お前が言うな的なことはあるんですが、間違いなく実感として、都市の変人率は増しています。
この前ある駅では、壁にひたすらシャドーボクシングしている男の人を見ましたし、ある街を歩いていたら、金髪の女の人がひたすら男の人に殴りかかっているのを警官に止められているのを見かけ、そこには大きな人だかりが出来ていました。
さらに言えば、昨日、電車内でスーツを着たサラリーマンが、酔っぱらっているため振り子のように体を揺らし、一定のリズムで私に寄りかかってきたばかりです。
まあ、全員がきっちりしていて、全く隙がないような都市よりは、変な人が一定数いる都市の方が、個人的には好きだからいいといえばいいんです。
しかし、ここまで物価が上がり、閉塞感に包まれ、政治に何ら打開策が無いと、やっぱり世の中は乱れていくんだなあと改めて実感するわけです。
話は少し変わりますが、私は「横浜駅」と相性がめっちゃ悪いのです。
乗り降りがかなり多い駅で、人が多いことも関係してるんでしょうが、横浜駅にいるとロクなことが起きません。
都会で人口が多い駅でも好きな駅はあるんです。しかし横浜に関しては、まじで相性が合いません。
だから、いつもは何か目的がある場合、その目的を遂行したら、すぐに横浜を去るようにしているんですが、先日、久しぶりだったからか、油断して完全にその法則を忘れ、結構長居をしてしまったわけです。
そしたら、街中や帰りの電車を含めて、3人もの変な人と遭遇しました。
以前、ブログに書いた「あの人を忘れられないおじいちゃん」のようなタイプの愛すべき変な人は大歓迎なのですが、この3名はいわゆる他に対しダメージを与えるガテン系変な人で、そして私はこのタイプは苦手なのです。
一人は、やたら体格が良く、そして声も大きく、その状態で周りに、独り言と説教なのかよくわかんない言葉をわめき散らしていました。
あとの二名はボクサー並みの体型でかつ、めちゃくちゃ体臭が臭く(臭いのは嫌)、酔っぱらっているのか、人にぶつかったり、やたら迷惑をかけていました。
沢木さんが深夜特急で、相性が悪い都市があるといっていましたが、私は横浜駅がそれにあたるんだなあとしみじみ実感したのです。
さらに今ふと思い出したので書きますが、私には忘れられないメモリーオブ変な人が居ます!
大学生の時に私は、スーパーのトイレにケータイを置き忘れたことがありました。
忘れたことに気付いてトイレに戻ると、白い髭をたくわえたおじいさんがニコニコして携帯を差し出してきました。
良い人だなあ、と思い
「ありがとうございます」
と言ってケータイを受け取ろうとしたのですが、全くケータイを放さないおじいさん。
笑顔のまま、おじいさんは言います。
「拾ったら一割もらえるんじゃよ」
うん。
私は前言を撤回します、この人は良い人ではない、変な人だ。
これはやっかいなことになりました。
引っ張っても笑顔のまま決してケータイを放さないおじいさん。
しかし一割と言っても、ケータイを板チョコの様に割るわけにもいきません。
これはどうしたものか・・・
「うまい棒を買ってくれ」
いきなりのおじいさんの発言に思考が全くついていかない私。
「えーと、うまい棒ですか」
「それで一割としてもいい」
なるほど、ここにきておじいさんは具体的な解決法を示してきたわけです。
なんとなく腑に落ちないまま、私はおじいさんを伴いスーパーのお菓子コーナーに移動し、そこにある全種類のうまい棒を買いおじいさんに渡しました。
するとおじいさんは笑顔で
「世の中は、こんないい大人ばかりじゃないんだ。これからは気を付けるんだよ」
という教訓を私に語り、ケータイを渡して、スーパーから出ていきました。
今思い出しても、この話が、良い話なのか、嫌な話なのか、ゆすられたのか、当然の弁済なのか、まじでわかりません。
まあ、そんなこんなで私の変な人体験を書き連ねてきましたが、形だけきれいに整えられたような状態よりは、変なものでも何でも色々出てきた方が健全だとも思うのです。
かなり生きるのが大変で厳しい今の時代を、多種多様な「変の力」を結集し、一億総変人みたいな状態でいけば、楽にもなるし、何か一つ違うステージにいけるかもなあって気もしてます。
さて、私は今この文をカフェで書いているわけですが、眠気を覚ますために、自分の首を反らしたり、舌を噛んだり、目をめちゃくちゃ開いたり閉じたりをしながら書いているのです。
ふと奥の方を見てみると、小さな二人の女の子がこっちを見ています。
「お母さん変な人がいるよー」
「声が大きいよ、やめなさい」
「はーい」
私は、その声を聞きながら心の涙を流しました。
生きるのは大変ナリ。