<雑記>七人のイヴを読み思う、読書の難しさ

雑記

「七人のイヴ」というアメリカの作家、ニール・スティーヴンスンさんが書いた長編小説を読了しました。

ある時、月が破壊され七つに分裂し、その隕石が大量に地球の地表に降りそそぎ、地球が死の惑星になることが確実になる中、人類の文化や遺伝子を残す為、宇宙ステーションを核としたクラウド・アーク計画というものが始動。

その計画の中で戦う人々の物語を、壮大なスケールかつ、大河的な歴史時間の中で描くというSF小説。

そもそも本作を読もうと思ったきっかけは、オバマ大統領が読んだ本という触れ込みがあったからです。

オバマさんの大統領としての評価は賛否があると思いますが、彼が読む本はおしなべて面白い。

そんなわけで文庫本で上下巻ある分厚い本を購入し、いざ! という感じで読書をスタート。

しかし本作、本当に読むのが大変な作品でした。

何が大変って、異常なくらいの大量な科学用語、機械の名称、ディティールの書き込みです。

私はSF作品が好きではありますが、それは壮大なスケールでこちらを驚かせてくれる発想や、そこで起きる人間物語が好きなわけで、正直な話、細かいディティールなどどうでもいいのです。

なので本作は本当に読むのが大変で、途中で何度もくじけそうになりました。

しかし、本作が憎いのは、その後に面白い展開や発想、人間同士の交流も描かれることです。

投げ出そうと思った次の瞬間、とんでもなく面白いシーンに入り、一気に集中する。と思いきやまたディティール描写に戻る、ということの繰り返しで、私の精神は左右に何回も揺さぶられました。

本作を読んで思ったのは、読書というのは難儀で、だからこそ面白いなあということです。

私は膨大なディティール描写は苦手ですが、中にはそれこそSFの醍醐味だという人もいます。というより本格的SFファンはそっちの方が多いかもしれません。

私はバリントン・J・ベイリーの発想や独創性で勝負するSFが大好きなのですが、彼の作品に関しては細かいディティールは放り出されているので、逆にそれが気になって嫌だという人も中にはいるかもしれません。

そう思うと、同じSF好き、読書好きでも好みが放射線状に広がっているんだなあと改めて思いました。

しかし大事なのは合わない部分があっても、ある程度付き合って読むことなのかなと思います。最後まで読めば、自分が好きな部分がどこか見つかるだろうし、少なくともこれが好きな人が何を愛しているかは分かると思うのです。

そういうことを続けていけば、自分の裾野が広がり、かつ色んな人の気持ちが共有出来る状態に自分を持って行けるのでは、そんなことをふと思ったのです。

そんなわけで読書というのは、好きなものや苦手なものも含めて、色々な何かを包括する力を養うことの出来る媒体なのかもと、改めて実感したのでした。

(今私は、背表紙のあらすじだけ見て買った池上永一のレキオスを読んでます。めっちゃくちゃ面白いぜよ!)

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