<歴史>「鎌倉殿の13人」(第二回、三回雑感)

鎌倉殿の13人

鎌倉殿の13人は現在までで、北条家と頼朝が関係を築くまでが描かれ、第三回で以仁王の令旨が頼朝に届き、いよいよ来週は挙兵!というところまで来ました。

さて、もうすでにこの段階で、後に繋がる大事な要素が沢山ありますねー。

・長女、大姫と政子・頼朝のほほえましいやりとり

・ひげ面で、ザ・関東の荒武者!の和田義盛

・悪女感満載の、時政の後妻りく(宮沢りえさんがはまり役過ぎる)

・めちゃくちゃいい人そうな畠山重忠(中川大志君が爽やか!)


上記以外も後の展開に生きてくる描写が盛りだくさんです(たいていが悲惨な結末を辿りますが)


しかし今年の大河で思うのが、大河ドラマにおいては脚本家としての腕もさることながら、歴史が好きだったり、その時代の歴史を愛しているかということがとても重要だということです。

三谷さんは、平安から鎌倉時代前半の歴史の概要をしっかり全体として把握して描かれているのがとても伝わり、今のところ、全く無駄な描写が無いように感じます。


それでいて史実に忠実にすることを目的にするとありがちな、教科書的な情報の羅列にもなっておらず、コメディやドラマとしてもしっかり楽しめるわけで、久しぶりに毎週楽しみに出来る大河が戻ってきて嬉しい限りです。



キャスティングも外れが無いですねー


雑用を押し付けられ右往左往しつつも、きらりと光る知性を感じさせる小栗旬さん演じる義時。

くせ者として描かれがちな時政を、豪快で人の良いオヤジとして演じる坂東彌十郎さん。

包容力と強さを併せ持つ政子を、小池栄子さんが吸い込まれるような目力と存在感で演じています。


しかし、現時点における私のMVPは頼朝を演じる大泉洋さんです。

私は「水曜どうでしょう」の大ファンなので、昔から大泉さんのことは好きだったのですが、最初に頼朝役だと聞いたときは、正直イメージに合わないかもと感じていました。

しかしそんな不安は、ここまでの話で軽く払拭され、今のところ大泉さんがこのドラマを引っ張ってると感じる位です。

頼朝というと、「沈思黙考で冷徹な決断を下す政治の鬼」みたいなイメージで語られがちです。

しかし、部下の心をつなぎとめるために、トイレに呼んで「お前を頼りにしている」みたいなことを言って抱きついたり(方法がかなり直接的だ)

朝廷から勝手に官位をもらった部下を、手紙などで容姿をねずみみたいとかハゲとかであげつらったり(今の時代なら確実にコンプラアウト)

政子が恐いくせに女癖が悪く、政子に頭が上がらなかったり

などなど、かなり愉快なエピソードであふれるお方でもあります。

その反面、情に溺れず、幕府の為なら冷徹に判断を下し、人の命を奪うことに対しても決断を下していくため、なかなか演じるのが難しいのが頼朝なのです。

現時点で大泉さんは、流された身でありながら威厳は失わず、慎重で計算高くありながら、どこか愛せる頼朝を、とても上手く演じている様に思います。

これからどんどん頼朝の冷血漢エピソードが出てくるわけですが、それをどう演じられるのか今から楽しみです。


頼朝とからめて第三回で特に印象に残ったのが、頼朝が挙兵の大義名分をとても重視していたことです。

この時代は荒れていてめちゃくちゃなように見えますが、荒れているなりにも時代ならではの秩序みたいなものがあります。

もし頼朝が理由もなく挙兵した場合、頼朝は朝廷に弓引くただのテロリストです。

そしてこの時代は、そんな人に兵は集まらず勝つ見込みは立ちません。

「オラ強えヤツと戦うために挙兵したぞ!!」みたいなドラゴンボールのようなノリでは勝ち残ることは難しいんです。

だからこそ頼朝は、以仁王の令旨に加え、後白河法皇の密旨を大義名分にしたんですね。

これで書の真偽はともかくとして、形上は「法皇を助ける」という大義名分は立つわけです。

頼朝は、兵がどのくらい集まるか、大義名分をどうするかなど、準備をしっかり整えたからこそ、鎌倉殿に成りえたのだと思います。

こういうところをしっかり描いてくれる今年の大河は本当に見ていて楽しいです。

引き続き、話の区切りのいいところで、鎌倉殿のことを書いていけたらなと思います。

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