<雑記>ファンタジーの季節

雑記

夏になるとファンタジーや冒険物語が読みたくなる!!

まだ5月なので厳密にいうと全然夏ではないわけですが、太陽の光が強まり肌が夏っぽさを感知したとたんに私の冒険熱が暴れ出すのです。


一風変わった設定のファンタジーや、各国をまたにかける国と国との陰謀を暴いていくようなエンタメ作品など、ワクワク感を刺激してくれる作品を心は求めている!!

とはいえ、「ワイルド・ソウル」も「ジェノサイド」も読んだし、最近では村上春樹さんの「騎士団長殺し」も読んだし(深い心理の中の冒険も最高)、自分が読みたい冒険系の小説のストックがどんどんなくなってきているのも事実。


しかしネットで調べるのも何だか億劫な今日この頃(怠惰ここに極まれり)


てなわけで、私が一番向いているアナログスタイル。

「本屋で適当に散策しつつジャケとタイトルを見て冒険センサーに引っかかる作品を探す」作戦を実行することにしたのです。


そんなこんなしてるうちに目に入ってきたのが先日、ツイッターで書評した「過ぎ去りし王国の城」という宮部みゆきさんの作品でした。

あらすじを見てみると、どうやら少年・少女が絵の中に入り込む冒険の話っぽい。

これは面白そうだ。


本をレジに持っていき並んでいる最中に、作者である宮部みゆきさんについて自然に考えが巡ります。


私が宮部みゆきさんを初めて読んだのは、確か中学生の頃で「レベル7」という作品でした。

この作品は「レベル7まで行ったら戻ってこれない」という言葉を残して失踪した女子高生の謎と、目覚めると見知らぬマンションの一室にいた、記憶を無くした男女が、腕に浮かび上がった「Level7」の文字の謎を元に進行するミステリー作品です。

これはどちらかというと心理やスピリチュアルというよりは、しっかりとした陰謀が根底にある大地に根がついたエンタメ作品であり、それ以来、私は宮部さんをミステリーをメインに据えたエンターテイメント作品を書く人だと思っていました。

しかし今回買った、「過ぎ去りし王国の城」を読んで、その評価は一転。

本作は、絵の中に入る冒険を通じて、少年少女の精神に分け入り、そして厳しい現実との対処方を親身になって提示しており、非常に精神的で、かつ読者に対しての魂を込めたプレゼントの気持ちが沢山入った作品だったのです。

そして本の末尾の池澤春菜さんの文章もとても良くて(声優さんらしい)、その池澤さんが宮部さんの子供が主役の話が大好きだと書いていたので、それに触発された私は、宮部さんの少年少女のファンタジーを求め再び本屋に向かったのです。

本屋に到着し宮部さんの仕切りの前で、本のあらすじを読みつつ物色していると

「ブレイブ・ストーリー」

という作品が目に入ってきました。


「これ知ってるなあ、結構前に話題になったよなあ」


確かアニメ映画化もされていて、一大センセーショナルを巻き起こしていたような記憶が、私のポンコツ脳から、ぽつぽつと蘇ってきます。

記憶の中では大きいハードカバーの本の印象でしたが、現在の棚には持ち運びやすい文庫本として上・中・下巻が奇麗に並んでいました。


「本を買う時は、自分の熱を元にその瞬間に一気に決断し買うこと」をモットーにしている私は、その場で上・中・下巻を全て購入しました。

そしてそのままカフェに直行、スーパー読書タイムに入ります。(至福の時間である)



そしてあれよあれよと読み進み、二日間で読破。



そして読み終わったとき出てきた感想が



「これはメタファーや象徴を使用しない海辺のカフカだ!!」


というものでした。


海辺のカフカは村上春樹さんの長編小説で、個人的に日本でナンバーワンじゃないかと思う位、独創的かつ、少年が生きていく上での精神の深い部分を救ってくれる最高の作品なのです。


そして今回の宮部さんのブレイブ・ストーリーは、海辺のカフカよりは、もっと現実に近いところで、誰にでも分かるように書かれた、少年少女の精神を救ってくれる最高の作品だったのです。

本作は上巻で、主人公に起こる現実での様々な問題が丁寧に描かれるのですが(主に親の問題で、根本的には男女の問題)それがまた物語に緊迫感を与えて良いです。

そして中巻からファンタジー全開の冒険をすることになります。

この流れから分かるように、これは自分の心と向き合うという冒険でもあるわけです。(詳しくは是非読んで欲しい)



初期の村上さんは、どちらかというと自分の内側の世界や自分が抱える問題を書いていたイメージがあり(それはそれで素晴らしい)、また宮部さんもしっかりしたミステリーを書く作家さんのイメージでした。


しかし、時間が経って、作風も文体も全然違う二人が、少年少女に対するプレゼントの作品を書こうという思いに至った、そう思うとなんだか胸が熱くなるのです。

それほどに両作品の魂とメッセージの根本は共通しており、そして素晴らしいのです。



しかし困ったことがあります。

今はまだ夏になっておらず、5月であること。

そしてブレイブ・ストーリーが面白く、すぐ読み終わったため、またしても読む本を探さなくてはいけないことです。

アーサー・C・クラークさんのまだ自分が読んでない本を買うのもいいんですが、SFは8月後半くらいに読書熱が来るので、まだそのタイミングじゃないんだよなあ(知ったこっちゃない)

そんなこんなでまたまた本屋に行ったら、宮部さんが帯を書いている「嘘の木」(作・フランシス・ハーディング)という本を発見。

表紙とあらすじを見てビビッと来て、全く知らない作者さんなのにジャケ買いしてしまいました♪

読みたい本が沢山ある時代に生まれて幸せでありまする。

何だかよくわからないモノを目指し、ブログやってます
本の書評や考察・日々感じたこと・ショートストーリーを書いてるので、良かったら見て下さい♪

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