そんなわけで発売日から二日間。
大事に、しかしほとんどの時間と脳味噌を読書に捧げ、「街とその不確かな壁」を読み終えました。
※↓本記事から三か月後、ようやく完成させた考察です。良かったら見てね
私は、村上春樹さんの作品に関しては、5年前くらいに読み始めたので、今回初めて発売日ほやほやに購入し、読了したわけですが、世間に沢山いる村上春樹ファンの皆と同じ行動を取れたことに、何かしらの絆を感じて、嬉しかったです。
さて、ネタバレをせずに簡単な感想を言うとすれば、私は本作に関しては、今までのどの作品よりも
「これは私に対しての小説だ」
そう思いました。
思えば「海辺のカフカ」を初めて読み終えた時に思った「こんな独創的ですごい小説を書く人が日本にいるんだ」という感動以来、「ねじまき鳥クロニクル」や「騎士団長殺し」を読み終えた時も、常に新しい感動を村上作品にもらってきました。
しかし、今回に関してはその感動と同時に、自分の人生をダイレクトに揺さぶられる感じがしたのです。
序盤は「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」の、もう一つの可能性を提示したいのかな?
そう思い読み進めていたのですが、第二部以降は、失われた、もしくは自分で失われたと思っている人のその後が、現実的かつ、思索的に描かれ、物語の規模と対象が優しく広がっていきます。
本作が、何でこんなに自分に刺さったかというと、やはり新型コロナウイルスもかなり影響していると思います。
私は新型コロナに関しては、身内にかかった人もおらず、そんなに大きな不幸に見舞われたわけではありません。
しかし、社会の変化、ありえない政治の対応、経済の悪化など、本当に色んな事を考え、とても精神的に参っていました(色々考えるタイミングとしては良かったと思う)
さらに私は、色んな事を自分の精神に繋げてしまう傾向があるため、ここ2年は常に暗いカーテンがかかった場所で生きている感じが常にしていました。
私が海外の古典作品ばかり読んでいたのも、どこか日本的な闇から目を背けたかったからかもしれません。
しかし本作を読んで、私がうっすら感じていた社会や、自分に対する色んな問題や絶望を深いレベルで具現化してくれている、そのように感じたのです。
特に一つあげるとするなら、無意識のレベルによる人と人とのコミュニケーションの壁ということになるでしょうか。
そんなわけで、これから私は、本作の考察の作成作業に入ります。
本作は、今までの長編よりも、個人の想像の余白を残しており、そして色んな要素が入り混じっているので、きっと大変だとは思いますが、今からどんな思いが形として文章に現れてくるのかが楽しみです。
個人的に心配なのは「ねじまき鳥クロニクル」の考察は、非常に満足がいくものだったのですが、いかんせん文字数がえらいほど多くなったので、今回はそれよりはコンパクトに出来ればなと思ってます(無理だったらすいません)
そんなわけで、近いうち? に考察を上げるので良ければ見て下さい♪