満月に少し満たない月が煌々と輝く夜、新築の赤いレンガの家の中、ソファーにいる二人はテレビを眺めている。
薄いベージュのソファーの左側には、女の子が座っている。
ショートカットの髪で、おそらく高校生と思われるその子は、制服のシャツとスカート姿のままだが、スカートの下には室内着用の短パンを履いている。
その隣では中学生くらいの男の子が、近くのひじ掛け机にある、お菓子の袋に手を入れながら、ぼんやりと画面を眺めている。
ドシン
ソファーの奥の食卓机の方から、何か大きな音がした。
少年は音に気付き驚くも、うとうとしていたようで、姉の方が先に動き出す。
姉が動いたのを視界の角に感じながらも、少年の意識は鈍い。
ようやく少年が、姉の居る食卓テーブルの方、すなわちソファーの背後に、ゆっくりと上体を回したのは、かなり時間が経ってからの事だった。
最初に食卓テーブルの上に見えたのは、色んな種類や、色んなサイズの石である。
しかしそれよりも、次に視界に入ったものに言葉を失う少年。
それはプラスチックの巨大な球体で、開いた状態で置かれ、その中にカプセルみたいなものが沢山入っていた。
姉は、その小さいカプセルの中から紙を取り出している。
それに目を通した姉が一言つぶやく。
「やっぱりね」
<完>