満月には少し満たない月が煌々と輝き、漆黒の夜の闇を照らしている。
その光が照らす夜の街の景色の中に、ぼんやりと赤いものが見える。
それは新築で二階建ての、赤いレンガの家で、そこから漏れるオレンジの灯りは、まるで月の光を手招きしているようである。
その招待に従い窓を通り抜けると、暖色の配色が心地よいリビングに、薄いベージュのソファーがあり、そこに女の子が座っている。
しゅっとしたショートカットの髪、幼いあどけなさを残しながらも整っている顔立ち。おそらく高校生くらいだろうか?
格好は制服のシャツとスカートのままだが、スカートの下には室内着用の短パンを履いている。
その女の子の隣にクッションを挟んで、少年が座っている。
少年のほうは女の子よりは顔立ちが幼い、中学生くらいだろうか?
楕円形の顔とぱっちりした瞳からは、利発そうな印象を感じさせる。
いま二人は、少し距離を開けてソファーに腰かけ、ぼうっとテレビを眺めていた。