<歴史>鎌倉殿の13人 43話「資格と死角」雑感

鎌倉殿の13人

先週、唐突に深夜バスで名古屋に行くという情緒不安定な行動をしたため、鎌倉殿の雑感を書き溜めたままアップ出来ませんでした←完全に自分のせい笑

そんなわけでとりあえず43話の雑感の記事をアップします。

43話のあらすじ

京都から戻ってきた公暁は、鶴岡八幡宮の別当に就任したものの自分が次の鎌倉殿になる気満々。

しかし実朝は、すでに京都から次の鎌倉殿を迎える決意を固め、公暁にも話してしまいます。

納得のいかない三浦と公暁、そして義時も腑に落ちていません。

しかし、朝廷から親王が来るという話を聞き、義時はそれならば仕方ないと納得します。

しかしこれが政権首班の奪取最後の機会と見た三浦は、復讐心を煽るため、公暁に父で2代目将軍の頼家が北条の手により討たれたことを打ち明けます。

一方、親王を鎌倉に迎える交渉には政子と時房が向かいます。

政子は親王の母、藤原兼子と緊張感ある1対1の交渉をして、一定の信頼感を得て、親王を鎌倉殿に迎えることが決定します。

鎌倉に帰り、交渉の成果と政子・実朝の官位上昇を喜ぶ政子と実朝母子。

しかしその裏では鎌倉に復讐という暗い感情が形となって現れようとしているのでした。

さてそれでは以下、本話の感想を書いていきます。

そもそもとしての話

そもそも公暁が、父の過去をここまで知らなかったということがありえるのだろうか?

鎌倉は非常に緊張感ある権力闘争を展開している政治都市です。

そこで生きる上で、三浦や誰かがもっと前の段階で公暁に対し事実を教え、ふるまい方の作法を施しているだろうし、噂でも入ってくると思います。

そして二つ目のそもそもの話として、公暁が鎌倉殿になるのは無理筋だということです。

鎌倉は、源氏である実朝と、その縁戚である北条という権力体制の政権です。

先代の頼家は比企の影響力が強いのと、本ドラマでは朝廷に文を出し鎌倉に戦を起こそうとしたため、暗殺されたことになっています。

その息子である公暁が殺されなかったのは政子の計らいが大きかったと思っています。

その意味で、そんな公暁を鎌倉殿にしようというのは、乳母だった三浦一族は分かるとして、他の政権首脳からすればありえないと思います。

なのに本作では、あんなに陰謀や思慮深い義時が、あたかも公暁が鎌倉殿の資格を持つ一人であるようにふるまっていて、そこが何だか政治的現実感に没入出来なくしています。

そもそも史実でも実朝に後継ぎが出来ない可能性が大きいと分かってからは、義時を含む北条一族や大江広元は朝廷から鎌倉殿を迎えることを一致団結して協力しているように見うけられるわけです。

つまり源氏ー北条体制から、御家人が誰にもバックに付いてない、親王ー北条体制への移行を目指しているわけです。

なので政権首脳部は、公暁ー三浦体制への変更を誰も望んでおらず、そもそも現実的な選択肢としても乏しかったと思うのです。

当の公暁自身は、「次は俺だ」と思ってても違和感はないですが、本作では義時を含む鎌倉の雰囲気が公暁の選択肢もあると思っているような感じなので、そこが個人的には微妙かなあと思いました。

二人の女政治家のバトルが熱い!

親王を鎌倉に迎えたい政子と、鎌倉を下に見ながらも、実質権力の鎌倉殿に息子になって欲しい思いもある兼子。

この二人の対決シーンは、狙いと感情、理性と戦略を言葉で戦わせる緊張感溢れるシーンで最高でした。

政子の贈り物に添える言葉尻を捕まえて

「鎌倉では口が汚れるもの贈るのか」

という兼子の先制パンチに冷やっとしますが、すごいのはその後にぱっと和やかになる表情の変化です。

最初に精神的ダメージを与え、しかし礼儀は保ち優雅さも崩さない。

うーん、実にいやらしくて最高です。

しかし、政子もここまで幾重の悲しみを乗り越えてきたわけで負けてません。

このシーンでは、嫌らしさや打算もありつつ、それでいてどこかで信頼感が醸成されていくような高度な人間ドラマが見れて、個人的に大満足でした。

広元の思い、仲章とのえ、従三位♪

広元の政子への熱情とも信仰告白とも思えるセリフに、政子が「重すぎます」と答える。

うん、そうだよなあ笑

冷静な広元のこういう姿もなかなか面白いし、こういう「抜きのシーン」が本作では面白いですね。

広元は個人的に鎌倉初期政治で最も重要で優秀な人物だと思っていますが、政治シーンばかりだと「冷徹な黒衣の宰相」イメージばかりになってしまうところ、こういう場面があると人間的魅力の方も深堀できていいです。

のえと仲章のロマンス展開に関しては、もうこのパターンいいよと思わないもないですが笑、仲章が嫌らしくも魅力的です。

義時に「私が執権になっちゃおうかな、ハーハッハー」と笑ったり、もう分かりやすいほど邪悪な陰謀キャラな仲章。

実際の仲章は二重スパイ疑惑があったとはいえ、ここまで表立って陰謀陰謀してなかったとは思いますが(こんなに分かりやすかったら早々に目を付けられる笑)

私個人としてはドラマを面白くする味付けとして、この仲章はアリだと思いますし、好きです。

演じる生田斗真くんは、顔がめちゃくちゃ整っているイケメンだという印象だったのですが、この仲章の演技を見て、こんな嫌らしい演技も出来るんと個人的に衝撃を受けました。

これからも色んなドラマや他の大河でも彼の姿を見たいと思うほど仲章の演技は魅力的です。

そして従三位♪とはしゃぐ政子がとても愛らしいです。

これは頼朝と「征夷大将軍ーーー!」と抱き合いながら喜んだシーンの天丼でしょうけど、毎回ほっこりさせられます。

本作の政子は、母の愛に茶目っ気、毅然とした態度といい本当に魅力的に描かれています。

良いタイトルでござる

今回の話のタイトル「資格と死角」はとても良いです。

これは実朝から見れば、鎌倉殿足る権威と資格を持つ親王を迎えることが出来る喜びの中で、そこに潜む公暁の野望という死角に気付かないという風にも取れます。

そして公暁からすれば、そもそも次は自分が鎌倉殿だと資格をアピールするつもりが、親王を迎えることを聞いて、自分が考えても見なかった死角に衝撃を受けるということも表しているようにも見え、実朝と公暁が表裏で対比している様にも取れます。

義時の中では親王や公暁の鎌倉殿の資格、そして他の人物の思惑という死角に苦労する回でしたし、万事上手くいっていると思っている政子にしてみれば、公暁の野望が死角になる。

うーん、本当に色んな物が重なる良いタイトルだ・・・・・

さて来週からはいよいよ公暁の陰謀が本格化していき、鶴岡八幡宮の悲劇がいよいよ近付いてきそうな予感です。

引き続き本作の雑感をどこかしらのタイミングで上げていきます。

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