私は10月の上旬、仙台に行ってきました。
かねてから旅好きである私、しかしもっぱら寒くない西の地方を愛しており、東北地方に関してはさしたる関心も無かったわけですが、大都市巡りをライフワークとしている身でありながら、仙台はまだ行っていないことが心残りにありました。
さてそんなわけで仙台に行こうと思ったのですが、いかんせん西への渇望もまた強し!
てなわけで、サイコロを振り←もろ水曜どうでしょうの影響
1から2を「仙台」、3から4を「京都」、5から6を「出雲大社」にして、運命に身を任せたところ、天は北の都「仙台」を選ばれた次第になりました。
さて次はどうやって行こうという話ですが、移動代はなるべく節約したいので新幹線は論外です←悲しい笑
最初は高速バスで行こうと思ったのですが、調べてみるとJRで「秋の乗り放題パス」が販売されているとのこと。
私は今まで、青春18きっぷ的な電車乗り放題旅を経験したことが無く、一度そういう旅をしたかったこともあり、7850円を支払い、購入。今回は電車の旅に決定!
とはいえ、私の家から最も近い要衝駅「横浜」から「仙台」までは普通列車で行けば8時間はかかる模様、ゆえに暇な時間がかなり発生するので、今回は旅の裏テーマとして「読書」の要素をふんだんに取り入れることにしました。
8時間ずっとを一気に行くのは厳しいので、行きは約二時間ごとに「水戸」「いわき」「仙台」と食事をしたり休憩をしたりしつつ、仙台へ向かい、帰りは「仙台」「福島」「郡山」という感じで経由して移動します。
そして移動の最中に沢山本を読もう!
ざっというとこんな計画なわけでございました。それでは「秋の乗り放題切符の旅」スタートです!
さて、そんなわけで初日の早朝、始発に乗るため、朝の4時半に起床し横浜駅まで移動しました。
しかしなんということでしょう・・・
早朝の横浜駅は混んでいたのです。ええ、朝なのに混んでいるのが横浜クオリティなのです。
私は今回の旅において電車の中の人混みをかなり覚悟していましたが、衝撃的な話、この初日の横浜から上野までの移動が一番大変でした笑
さて上記の写真、これは水戸だとお思いでしょうが違います。これは上野駅の構内にあった茨城の写真なのです。なんだか「お主は茨城へ行き、成すべきことがあるのじゃ」と言われているようで、つい撮ってしまいました。
さて、そんなわけで上野からすぐに、最初の観光地かつ休憩地の水戸に向かいます。
上野から常磐線(勝田行)で約二時間で、水戸駅へ向かう行程です。
さてさて、横浜駅での洗礼を受けてドキドキしていた私ですが常磐線は、空いていて景色も素晴らしい。これぞ電車旅の醍醐味みたいな体験が出来、ほっと胸を撫でおろします。
今回の旅に、持っていったジョン・アーヴィングの「ホテル・ニューハンプシャー」も非常に面白く、快適な気分で水戸へと到着します。
外で水戸黄門の像にも挨拶をかましました。
降り立った水戸駅は、穏やかな優しい活気がありつつ、それでいて混んでいるわけではないという最高な感じで、未知の場所に来た感覚がむくむくと盛り上がって参ります。
そんなわけでしばらく、駅回りを探索した後、事前に調べていた水戸の名物が食べれる居酒屋「てんまさ」さんに向かいます。
水戸駅の近くのビルの地下にあるいい感じの居酒屋さんです。
そこで納豆がふんだんに入った、ねばり丼を頼みます。
元々納豆好きな私としては大満足、めちゃくちゃ美味しかったです!
さてご飯を食べ英気を養った後は、再び電車へと乗り込みます。
水戸駅から常磐線(いわき行)で約1時間半をかけていわき駅へゴー!
さて電車の中にはあまり人もおらず、景色も快適でございます。
そんなこんなであっという間にいわき駅に到着。
いわき駅もとても綺麗で個人的に過ごしやすく好きな駅でした。
ここではとりあえず駅近辺を散策した後、ホテル・ニューハンプシャーを読み終えた後の、本を探すべく書店に向かいました。
そんなに大きい本屋では無かったのですが、私は大きい本屋だと何を買うか迷い、無限に自分との禅問答を繰り広げてしまうタイプであります。
ゆえに小さい本屋さんだとぱっと目に付いた物を一期一会だと思い購入するので、何と出会えるかわくわくし結構楽しかったりします。
そしてそう言う時ほど、当たりの本を買うことが多く、今回もまた然りでした。
買ったのは澁澤龍彦先生の「ドラコニアの夢」。本作の感想に関しては後程。
さて、本も買い、駅前のカフェで休憩した後、いよいよ目的地・仙台駅まで一気に電車で駆け抜けます。
いわき駅から常磐線(原ノ町行)で原ノ町まで行き、そこで乗り換えて常磐線(仙台行)で仙台まで行くという、合計約三時間の道程でございます。
今回初の三時間に及ぶ電車の旅。
私は過酷さを覚悟していました。
しかし
車内は穏やかで景色も素晴らしい。
そう全く苦ではなかったのです。しかしここで私は思わぬ伏兵に出会います。
そう「ホテル・ニューハンプシャー」です。
私はかつて九州を自転車で回ったことがあるのですが、その時もアーヴィングの「ガープの世界」を読み、心がやられ(内容は本当に素晴らしいです)、しばらく大分を動けなかったことがあります。
しかし私はニワトリのごとく過去の経験など数日で忘れる馬鹿野郎なわけです。
そんなわけで、まんまと今回もアーヴィング作品に心がやられてしまいました(たびたびですが本当に素晴らしい本)
↓書評も書いたよ。気になったら見てね
ずっと心の中で「どうしてこうなってしまったんだ・・・」とある登場人物の運命に対し、悲しみの涙を心の中で流している最中に仙台駅に着き、同時に読了。
さてここで仙台駅の景色をお目にかけましょう。
どうです。とても素晴らしい景色でございましょう。
しかし私の心身はこの時、仙台駅を見てぶち上るテンションとホテル・ニューハンプシャーの影響で落ち込んでいる精神の綱引きにあい、見事に引き裂かれていたのです。
ゆえに仙台駅周辺をふらつきながらも精神は不安定で体調は悪化。
さらに仙台のアーケード街は、想像の10倍くらい広く大都会!
ゆえにテンションの上昇値は上がるわけですが、悲しみが心を引っ張り、精神の裂け目は拡張する一方。
ゆえに私は普段あまり迷わない方なのにも関わらず、見事にアーケード街の迷宮に迷い込んでいしまったのでした。
その当時の私の頭の中の迷宮がこんな感じです。
翌朝、散歩してみたら全然すっきりとした素晴らしい商店街だったのですが、錯乱中の私には夜の闇もあいまりこんな感じに見えていました。
このままではまずいと思い、私はカフェに入り、心身を休めます。
コーヒーを飲みしばらくして心が落ち着き。読書の傷は読書によって癒やそうといわき駅で買った「ドラコニアの夢」を読み始めます。
先程も言いましたが私は狭めの本屋で買った本が大当たりする傾向にあり、そして今回も大当たり。
本作は、澁澤龍彦氏のおすすめ作品や文学論、エッセイなどが詰まった作品集なのですが、どれも蠱惑的で面白い。
「ドグラ・マグラ」や「さかしま」「黒猫」、江戸川乱歩の「パノラマ島奇談」などなど、怪しく魅力的な匂いを放つ作品群たちに、読書欲が加速度的に盛り上げられて、精神も完全復活笑
そんなわけで夜遅くまで読書をして1日目の夜は更けたのでした。