<雑記>最近読んだ本について

雑記

最近読んだ本が色々熱い!

この頃は、長年読もうと思っていたモノを片付ける期に突入しているのもありますが、とにかく読む本読む本当たりが多いです。

まず最初は、恩田陸さんの「ねじの回転」です。

本作は、未来の組織がある目的から、未来の装置を使い「二・二六事件」という歴史的事件を再度なぞっていき確定させるという、歴史と時間SFを混ぜた挑戦的な作品です。

恩田さんの読みやすい文章と、先が気になる展開と意外な結末などエンタメ作品として本当にすごい作品です。

安藤大尉、栗原中尉、石原莞爾など、その当時の時代の人の思い、また未来の人たちの思いが錯綜し世界観の広がりだけでなく、心情や思いの裾野の広がりも本作の醍醐味だと思います。

ただ最後の着地部分に関しては、その心の要素1点だけで解決するような感じは少し甘く感じ、世間の問題はそんなに簡単じゃないのではとも思います。

言うなれば物凄い前向きなヴァージョンのテレビ版エヴァみたいな放り投げ方みたいに感じたのです。←読んでない人にとっちゃなんのこっちゃって感じ

ただこれは個人的な感想であり、本作はSF作品として本当に面白くて、二・二六事件という題材を元にした唯一無二な作品ですので是非読んで欲しいです。

そして次は伊藤計劃さんの「虐殺器官」です。

本作は、作家デビューしてからわずか2年ほどで、34歳で早逝した伊藤計劃さんのデビュー作品です。

アメリカ情報軍に所属するクラヴィス・シェパード大尉が、なぜかとある人物がいた後進国で、連続して徹底的な虐殺事件が起きることから、その虐殺を煽動しているとされるアメリカ人ジョン・ポールの暗殺を命令され、ポールという人物の謎、なぜ虐殺が起きるのかという問題に迫っていくSF長編です。

これは日本SFではある種、伝説的な作品であり、読もう読もうと思っていたのをようやく読み終えたのですが、本当にとんでもない作品でした。

SF作品の中ではオリジナルの科学用語が飛び交い、それだけで読むのが億劫になる作品も多いですが、本作は重厚なタッチながら、言葉は分かりやすく、また機械や光景がしっかりと絵に浮かび、ハードなディストピア世界にしっかり入り込めます。

そして何よりすごいのが作者の文明や社会に対する怜悧な洞察です。

我々、日本人や米国、ヨーロッパの先進国の食事や何気ない暮らし、それ自体が後進国の搾取で成り立っていること、政治組織や人間心理のダイナミズムなど、耳が痛い事実から一切目を背けない姿勢は圧巻の一言です。

そしてポールがなぜ虐殺を起こすのかという理由も、衝撃的であり、そして現代の核心を突いていて、その理由を読んだときは、しばらく考えこんでしまいました。

さらにラストの終わり方も賛否はあるでしょうが、今の社会に対する私の気持ちと完全に合致しており、よくやってくれた!という激しい共感みたいな狂騒感に包まれました。

SF作品にはとても名作が多く、思索的であったり物語的に面白いものが多いです。

しかし本作ほど、現代社会の核心を突き、なおかつ思索的でかつ面白い作品はなかなかありません。

とにかく是非読んで欲しい作品です。

そんなこんなで最近も素晴らしい読書体験をしている私ですが、なんと今はあの中国SFの「三体」を読んでいます。

これも最高に面白いので、読み終わったら何らかの形で紹介出来ればと思います。

何だかよくわからないモノを目指し、ブログやってます
本の書評や考察・日々感じたこと・ショートストーリーを書いてるので、良かったら見て下さい♪

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