<雑記>メタファー、クリアした!!

雑記

先日、「メタファー:リファンタジオ」を113時間でクリアした。

メタファーはペルソナ3から5のディレクターを務めた橋野桂さんが、初めて現代社会が舞台ではなく、ファンタジー世界を舞台とするRPGに挑戦した、新規IP作品である。

率直に言って、本作は神ゲーである。

ペルソナでもかなり意識されていた社会派なメッセージ性、かつ人間心理を深く描き出すパワーは、ファンタジー作品というフィルターにより、更に力強さを増している。

現代の作品が、女子高生やOLがご飯を食べたり等(そういう作品も必要)、快楽や体感に寄っており、軽く見れるライトエンタメ志向であることを考えると、本作は画期的だし、プレイヤーの事を信頼しているのが伝わってくる。

自分が本作から感じ取ったのは、「全ての創作物への可能性を信じる」という心だ。

あんまり言うとネタバレになるので書かないけど、ある種、本作は読書家や読書好きの為のRPGでもあると思うので(どちらかと言うと読書することとは何かを問う感じかしら)、本が好きな人は是非やって欲しいと思う。

また本作の特徴としてファンタジーに選挙というファクターをプラスしているという事も重要だ。

2024年はまさに選挙イヤーであり、良きにしろ悪きにしろ、政治は盛り上がった。現在の日本は、まさに政治の季節と言っていいと思う。

本作の批判の一つにペルソナシリーズのシステムであるカレンダーシステムが使われたことがあり、確かにここは賛否が分かれる部分だろう。

しかし選挙という次元的に区切られた戦いを表現するのにカレンダーシステムは相性が良く、いつまでに何をするのかという政治における準備と予定管理の重要さとマッチしていて、リアリティ面を考えるとかなり良い感じだったのではないかと私は思っている。

これからの日本社会ではSNSの力は増し、恐らく既存政党の力は不満と怒りに飲み込まれ減少していくことになるだろう。

そしてその時、勃興してくるのは、極端な主張、ピントがずれている価値観、陰謀論、バランスの良い改革派、ワンポイントイシュー、弱者に軸足を置く主張などなど、熱狂をまとう玉石混交のカオスな政党たちだ。

その中でバトルロイヤルが起き、そのどれかが力を得たり失ったりして、政治が荒々しく動いていくことになる、そう私は考えている。

その意味で本作のカリカチュアされた候補者や選挙の様子は、今後の日本を現わしていると言っても過言でないように思うのだ。

私は既存政党が徐々に腐敗を進行させ、ぬるま湯の中でゆっくり死んでいく社会よりは、カオスに動いていく政治の方がマシだと思うので、そこまで未来に悲観はしていない。

しかし今後、そのカオスの中で重要になってくるのが、その中で何を考え何を選ぶかという各個人の感性であるよう思う。

要は想像力を持ち色んな角度から考える事が出来る人間をどのくらい増やせるかというのが、今後の日本の命運を決める気がするのだ。

その意味で本作は、まさにそういう人間の可能性を信じ投げかける、希望に軸を置いた傑作だと私は思う。

ここからは余談になるが、本作の感想でストーリーの後半に不満をあげる人が少なからずいて、これは面白いと思った。

何がかと言うと、これは村上春樹さんの長編小説の傾向ととても似ているのだ。

村上さんの小説は、設定や序盤を面白いけれど、終盤や畳み方が意味不明という感想をよく目にする。

なぜこういう感想になるかというと、上記の感想を持つ人は、物語の畳み方を現実世界の理屈とエンタメ性で考えているからであり、村上さんの作品はそれらとは別の畳み方をしているからだと私は思う。

村上作品はわくわくする序盤の設定を、全て心理的・象徴的、ある種、幻想的に畳んでいる作品が多く、ゆえにそういう思想的指向を持つ人には唯一無二の作品になり、現実の理屈を重視する人には意味不明という事になってしまう。

メタファーに関しても、恐らく政治や選挙というファクターに肩入れした人ほど、その畳み方に不満を持つ人がいたのだと思う。

イデオロギーの掘り下げが甘いとか、選挙戦の描き方が甘いという意見を否定する気はないけども、本作はゲーム最初でも問われるが、その本質は「幻想と現実」である。

そしてそれを描くことで人間の存在についてを表現しており、多くのサブキャラクターとのコミュニケーションなど、選挙や政治以外の事も多岐に扱っている。

つまり本作はファンタジーという入れ物に、ありとあらゆるものを詰め込んだ、非常に総合的な作品なのだ。

もしイデオロギーの矛盾と政治闘争が見たいなら「銀河英雄伝説」など、そういうアニメを見ればいい(ついでに私的アニメ第一位が銀英伝)

そして本作は本質である幻想と現実に関してはしっかり描いていたし、それ以外の要素もそこにしっかり絡めていたと思う。

さて、そんなわけで本作はまさに神ゲーであり、またしても考察案件が増えてしまった。

とりあえずリンダキューブ アゲインの考察を終え、メタファーの考察にとりかかねばなるまいて←果たしていつアップ出来るのやら・・・

何だかよくわからないモノを目指し、ブログやってます
本の書評や考察・日々感じたこと・ショートストーリーを書いてるので、良かったら見て下さい♪

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