<雑記>冷やし中華に対しての私のスタンス

雑記

9月になっても熱い。しかもじめじめしている。

ゆえに機嫌が悪いので、ここに長年抱えてきた「冷やし中華」に対する思いを吐露しようと思う。

ついでに以下の文は、偏った主観により、脳髄が傾き元に戻らなくなった不幸な人間の見解であり。事実について全くもって責任を持たないことをここに明記しておこうと思う。

さて、私は有体に言って「冷やし中華」を憎んでいる。

そこには冷たい酢醤油に明らかに頼りに切っている、酸味一辺の味に対する憤りももちろんある。

しかし私の積年の思いはそんな単純な1ファクターでは表せない。

ここで本題の「冷やし中華」に入る前に、その前提としての「冷やし系麺類」全般について意見を述べたいと思う。

そもそも私はこの「冷やし系麺類」全般が苦手である。

ここで分類の混乱を避ける為に、そばとうどんについて言及する。

ざるそばやぶっかけうどん、これらの冷たい麺類については、私は大好きである。そして私の中でこれらは「冷やし系麺類」のグループには入らない。

なぜならそばやうどんについては既に初期設定から、冷たくして食べるという選択肢が含まれているからである。

私が苦手なのは「冷製パスタ」や「冷やしラーメン」という、元々熱いのがデフォルトなのに、その分を超えて、冷たい領域にずかずかと踏み込んできた厚顔無恥な輩たちなのである。

そもそもパスタやラーメンは温かさと共に歴史を紡ぎ、ここまでやってきた。

逆にそばやうどんというのは、ある意味で非常に器用に、矛盾した「温」と「冷」を生誕の時から使い分けてきた、非常に希少な存在とも言えるだろう。

大昔の人も冬には、温かいそばを家族で分けて食べ、熱い時には、冷たいつゆにつけてするすると、そののどごしを楽しんできたに違いないのだ。

つまりそばやうどんは「歴史と伝統に裏打ちされた冷」である、そう言えるのではないだろうか。

一方でパスタやラーメンを冷やすという発想は、現代にぽっと出で現れた、非常に浅薄な思いつきでしかなく、これは「歴史に断絶されている付け焼刃の冷」だろう。

そんなわけで付け焼刃の「冷製パスタ」は、そもそもが泡沫候補であり、主流派にはなれるはずもなく、もはや供託金没収まである。

さて、ここでようやく「冷やし中華」の話に戻る。

実は彼に関しては問題はより深刻である。今まで述べた「冷製パスタ」などよりも、より根源的、本質的な問題を抱えているのが彼なのだ。

その問題は「冷やし中華」という名称自体にある。

冷やし中華・・・

はて

中華とは何ぞや!?

先ほど述べた冷製パスタ。これは簡単である。

「あっこれはパスタを冷やしたものなんだね、お父さん」と、小学校1年生の長男もにっこり。

しかし冷やし中華。

「あっ、これは中華を冷やしたものなんだね」

もう一度問う。

中華とは何ぞや!?

これには小学3年生の長女も涙目、お父さんも困惑狼狽である。

冷製に考えて彼は、ただの酢醤油にまみれた麺だ。それ以上でもそれ以下でもない。

こうなると恐ろしい一つの結論が浮かび上がってくる。

そう。

奴は自身がただの酢醤油にまみれた麺でありながら、世界三大料理の一つである「中華」の冠を自称しているのである。

当たり前の話だが「中華」と聞いたら、ほとんどの人が餃子やチャーハン、酢豚、エビチリと言った言わずとしれた閣僚クラスの重鎮を思い浮かべるはずだ。

まかりまちがっても酢醤油にまみれた麺を想像する人はいない。

つまり奴は、虚飾にまみれた偽りの僭称者なのだ。

そう考えると冷製パスタは自らを「冷やしフレンチ」と名乗っていないだけ、わきまえておりまだ愛い奴と言える。

もし私が海外にいき、ざるうどんがクールジャパンと表記されていたら、その店員の顔とうどんの図太い麺が恐怖で青くなるまで、不気味で痙攣的な笑いを浮かべ、嫌がらせのようにその場に佇み、睨み続けることは、恐らく自明の理だ。

そもそもただの麺がそんなに大きな主語をまとっていいのであれば、いよいよ「冷」の字こそがキングメーカー、奴の天下になってしまう。

冷房の効いている部屋で仕事をしている、内閣冷やし官房長官。

冬季オリンピックは、冷やしんピック。

北海道でエヴァンゲリオンを見たら、綾波(冷)、沖縄で見たら、綾波(温)でもいいという理屈になってしまう。

そう「冷やし中華」というのは、本質的に言葉の意味を歪めるソースを酢醤油と一緒に麺にあえているのだ。

ゆえに我々は、引き続き「冷やし中華」に厳しい監視の目を向けなくてはならないし、いずれその存在と対峙しなくてはならない時がくるだろう。

(おしまい)

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