<書評>「自由研究には向かない殺人」 王道の青春ミステリー

書評

「自由研究には向かない殺人」はイギリスの作家、ホリー・ジャクソンさんが2019年に刊行した、ミステリー小説です。

あらすじとしては、イギリスの小さな町に住む高校生のピップが、自由研究で5年前に自分の町で起きた17歳の少女の失踪事件を調べ始め、その過程で様々な町に潜む謎や、身近な人物の影の部分が見えてくるという感じの、王道な青春ミステリーです。

ピップはその失踪事件の犯人で、少女を殺して自殺したとされている少年と親交があり、彼が犯人だと信じられないという動機から、彼の無実を証明するために、捜査をスタートさせます。

本作は、実は昨年の段階で読み終えていました。

内容はとても面白かったのですが、大円団の部分の雰囲気が自分の中で引っかかるものがあり、ゆえにサイトで取り上げるかどうか考え、寝かしている状態でした。

しかし本作は三部作の一作目です。

そしてネットの感想を見るに、二部作目、三部作目とどんどん面白くなるらしく、年明けから二作目の「優等生は探偵に向かない」を読み始めました。

そしたらなんと私が引っかかっていた部分が、二作目で完全ににフォローされていて絶句。

さらに二作目は個人的に一作目よりも、のめり込み度がアップしておる模様。

ゆえに私は新年明けて一発目に本作を取り上げることにしました。

本作はまず青春ミステリーとして非常に面白く、楽しめる要素が沢山あります。

王道ながらも、二三転する事件の真相には意表を突かれますし、その奥にある人間の心の薄暗さもしっかりと表現されています。

そして主人公のピップの感性及び感受性には非常に好感が持て、物語への信頼感と没入感を高める役割をしっかりこなしてくれています。

私が何より好きだったのは、物語の舞台であるイギリスの架空の地方都市、リトル・キルトンでの空気感と高校生の暮らしです。

やはり日本とは全然違う、遊びや会話の様子、隣人との距離感など、リアルなイギリスはこんな感じなのかなあと本作を読んで想像するのが、とても楽しかったのです。

また本作の重要な点は、エンタメであるのと同時に社会派としてのテーマもしっかり含まれてる事です。

なぜこのような事件が起きてしまったのか?

そこには現代社会に繋がる、人間が抱える業や問題が密接に関わっています。

本作においても健在なそれらの魅力ですが、その視点の深さは、個人的に二作目において、さらにパワーアップしているように感じます。

本サイトで、二作目も三作目も書評していく予定ですので、その際はよろしくお願いします♪

何だかよくわからないモノを目指し、ブログやってます
本の書評や考察・日々感じたこと・ショートストーリーを書いてるので、良かったら見て下さい♪

かえる文学をフォローする
全記事書評
シェアする
かえる文学をフォローする
タイトルとURLをコピーしました