よくわからない不条理な会話劇です。
気楽に見てください♪
足利尊氏
最近、悩みがあってさ
何々、どうしたの?
どうしても倒せないんだよ・・・
倒せない?
そうなんだ・・・あまりにあれで・・・
うーん、さっぱり見えてこないな
何が倒せないのよ
あの・・・・足
足?
どうしても・・・
どうしても?
・・・足利尊氏が倒せないんだよね
足利・・・
そう足利
えっと・・・
それはゲームの話か何かかな
実は僕は毎晩、夜中の9時から自分の部屋である、実家の離れの六角堂にこもって、瞑想にふけっているんだけれども・・・
衝撃の初耳情報だわ
そこで、瞑想中に次々と出てくる戦国武将たちと戦いを繰り広げているんだ
なるほど、お前ヤバいやつだったんだな
その中でも、足利尊氏だけ、どうしても倒せなくて
他は倒せてるんだ・・・
何で足利だけ倒せないの?
やっぱり強いから?
尊氏がむかつくのは、破天荒にキメてるクセして
以外とちゃんと尊氏しててさあ、タカの着てる服も、なんか以外とかっこよくて、これぞ尊氏・・・
バイト先の友人の悪口みたいなテンションで尊氏語るのやめて!
しかも何なの尊氏してるって・・
一体、どうしたら倒せるのかしら?
もういっそのこと、織田信長とか呼んで、倒しちゃえば
ああ、あの運だけで生き抜いた戦国DQN野郎ね
お前の信長の認識が先鋭的すぎてびっくりだよ
とりあえず体は鍛えてるんだけどなあ
鍛えてるっていっても、相手は武将だしね
付け焼刃の筋肉ではどうにもなんないんじゃない?
ある程度、戦略シュミレーションを立ててはいるんだよ
へー、どんな戦略なの
まず僕の右腕の拳で
右肩尊氏を攻撃、そのまま左腕尊氏を固めて
右もも尊氏に足をからめて、左首すじ尊氏に手を回し
右耳尊氏に顔を近づけて・・・
ごめん、尊氏を部位で言うのやめて
足カルビ尊氏・・・・・
ふざけるなら帰るよ
そうは言うけど、お前は尊氏の何を知ってるのよ
俺は何も言ってないわ
そして尊氏のことは、俺はほとんど知りません
そんなことだろうと思いまして・・・
用意してきました!!
第一回足利尊氏クイズ!!!
もう一人でやってくれよ・・・
第一問
尊氏は恋人に自分の名前を、下の名前のニックネーム、タカちゃんと呼ばせている
〇か×か
まさかのプライベート問題だった・・・
えーと・・・意外と〇
ブッブー
違ったか・・
正解は・・・
そういう学説もある
でしたー
また明日なー
待ってくれ!
やっぱりクイズでは表面的なことしか分からなかったようだ
けっこう内面的な問題だったけどな
やっぱり相手は征夷大将軍までなった人だから
肉体面で勝つのは無理かもなあ
お前は筋トレを最近始めた、ただの学生だしな
やっぱり精神攻撃だな
尊氏はメンタルが弱いイメージあるし
メンタルって言ったって、何をどうするのよ
カレンダーの刑はどうだろう
またわけのわからんことを
簡単だよ
尊氏の恥ずかしい写真をふんだんに使ったカレンダーを作って
徳川家にばらまくのさ
徳川家の大混乱が見える・・・
カレンダーってことは、四月とかだと桜満開の木々の中に足利尊氏がいるわけか
なかなかの図だなあ
はっ?
四月は、義持でしょ
もち?
一月、尊氏
二月、義詮
三月、義満
四月、義持
五月、義量
六月、義教
歴代将軍カレンダー・・・
あれ、でも足利将軍は15代まででは?
後半はグダグダだから、適当に誰か削りまーす
将軍に何たる仕打ち・・・
うーん、しかし結果として
足利将軍のグラビア写真集みたいになってしまったなあ
こうなってくると
徳川バージョンを見てみたくなってくるから不思議ね
はっ!!
そんなこんなで家の前に着いてしまった・・・
まじだ、うわー、自分の家の道通り過ぎてたわー
まあこれも何かの縁だし寄ってくかい?
何の縁なのかは分からんけど
疲れたからちょっと寄らせてもらうわ
オッケー
そしたら、そこの右側を曲がってくれ
うわっ、本当に六角堂がある!!
木造建築でありながら、重厚感がある作りだ
屋根の瓦もめちゃくちゃ立派!!
ちょっと待ってね、いまドア開けるから
鍵大きいな!!
そして青銅の龍がかたどられている!
部屋の鍵に龍が付いてるの、この地域でお前くらいだぞ
・・・・・・
どうした?
何か気配がする・・
気配?
ふせろっ!!!
えっ、何
恐っ!
うわっ、背後の壁に矢がささっている!
やはり出たな
はっ
仁王立ちで、足利尊氏が立っている
すごい迫力だ!
やるしかない!
あっ、殴りかかった!しかし避ける尊氏!
尊氏の弧を描くような蹴りを、しかし、わが友も受け止めている!!
あっ、右肩尊氏に友の拳の強い一打が入った!
尊氏の顔が歪んでいる!
しかし、そのまま上半身をひねり、尊氏の左拳が友の脇腹に!
さらに左もも尊氏が、友の足にダメージを与えている!
苦しそうな友に、薄笑いの尊氏だ・・・
バシッ!
ドンッ!
ギュッ
スタタタタ
すごい、まるで流れる演舞のような戦いだ・・
筋肉の流れがここからでも見える
シュバッ!!
ピタッ!!
足利尊氏が距離を取った、手を合わせて何かを唱えている・・・
はっ、あれは!!
ズン ズン ズン ズン ズン
六角堂の壁に、足利カレンダーが!!
そしてその中から、義満、義持、義教、義政、義昭
が出てきた!!
歴代将軍でも特に有名な5人だ!!
やめろー!!
我が友が、足利の中でもみくちゃにされている!!
あー、ほこりでもう何が起きているか見えないっ!!
ドン
バタバタ
グニャリ ベキべキ シューン
・・・・・
静かになった・・・
ようやく視界が晴れてきた・・・
あれっ、友の恰好が変な鎧みたいになってる
そして目がドロンとしている・・・
こんばんわ、アッシュガーGタッカーです
なんたることだ!!
足利に完全に飲み込まれ、さらに足利の未来の可能性的存在に変化してしまっている!!!
ソレデハごきげんよう
ヒュン ズドドドド
六角堂の屋根を突き破って空へ消えてしまった・・・
そして残ったのは、星が見える穴が開いた、六角形の空間と、それを取り囲む無機質な静寂だけだった・・・・・
<完>