<雑記>揚げ足クッキー

雑記

私は常々思っていて言えないことがある。

それはクッキーやホットケーキを焼く前の、黄色と白の中間みたいな色のペースト状の生地についてだ。

私は物心ついてからこの方、焼きあがったクッキーよりも、あの状態のトロトロした奴の方が、美味しそうだなと思ってきた。

幼少の頃は、この感覚はおぼろげながら皆が、無意識で共有しているものだと考えており、ゆえに当然

「そうだよねー。何か香ばしいねるねるねるねみたいで、非常に蠱惑的で魅力的だよね」

という反応が、十中八九、少なくとも十中の七か六くらいは返ってくると思っていた。

ゼロである。

そう世の中は世知辛いのだ。

十中ゼロ、B’zが叫ぶよりもゼロ、むしろその時の友人の空気の冷え方も含めればストロングゼロである←はっ?

その時の友人の反応は大体、こんなところだ。

「えっ、普通にお腹壊すじゃん」

「ドロドロしてて微妙だな」

「お前って笑い方だけじゃなく、中身も気持ち悪いんだな」

等々、生地の感想にまみれて私に対する人格攻撃まで入ってくる始末。

以降私はこの感覚を、陰陽師の家系に出てくる秘術の力並みに、余人に対し隠して生きてきたのである。

しかし考えてみると、私は結構色々な思いを心の底に隠しながら生きてきたように思う。

例えば「揚げ足」だ。

私はこの言葉が本で出てくるたびに、自然とよだれが出てくる。

そう「揚げ足」が美味しそうだからだ。

「揚げ足」の文字からは、下味をしっかりつけて、弱火でじっくり火を通した地鶏の素揚げのようなものを連想させる。

昨今、韓国のフライドチキンがブームな事もあり、「揚げ足」を見た時の私のよだれ量は、前年比120パーセント増で推移している傾向にある。

しかしここで一端立ち止まって考えてみたい。

ペルソナ4において、欲望を認めずに隠せば隠すほど、その欲望や歪みは増大していくことが既に提唱されている。

それならば私はこれらの思いをおそらくは形にしていくべきなのだろう。

もしどこかの駅ビルで、ビアードパパのシュークリーム店の隣に、「揚げ足鶏のトロトロクッキー」という店があったならば、それは私のペルソナが「出店」という形で顕現したものでありますので、その時はどうぞビアードさんちのパパさんくらいには優しくしてあげて欲しい。

それが今の私の、ただ一つのたった一つの願いなのだ。

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