昨日、本棚をなんとなく眺めていたら、「歴代総理の通信簿」という八幡和郎さんの本が目に入りました。
ついつい懐かしくなり手に取る私。
この本は、私は大学時代、カフェでモンブランのひも状の部分をすくうように食べていた時、突然
「私は歴代総理大臣のことを、知らなくてはならないのではないか?」
という謎の強迫観念に襲われて買った本なのです。
さて、とはいうものの、その当時の私は少し政治に興味が出てきたかなあ、歴史は好きだけど近代史は全く手つかずという、絵にかいたような、普遍的文系大学生だったので、書いてあることがマジでわからないことだらけなのです。
伊藤博文、山県有朋はまだいいとして、山本権兵衛さんとか、田中義一さんとか言われても、字面からは近所にいる優しいダークグレーのセーターを着た初老のおじいちゃんしか浮かびません(二人とも鳩に餌をあげていた、優しいね)
この書籍は総理大臣の業績を通信簿形式で評価する本なので、わかりやすく書いてあるとはいえ、その事件のある程度の前提の知識みたいなものは必要とされるわけです。
しかし、私はまるで無知。どう考えてもその当時の私には手に余る書籍だったわけです。
さて、こういうときにどうするかというので、その人の性格が分かります。
まず読むのを一旦保留し、入門書を買うという人。
しっかりと手順を踏もうというタイプですね。
おそらく、これが一番いいのでしょうが、私は面倒くさがりなくせに、時間もったいながりという二律背反の業を背負っているので、まずこれは却下されます。
次に、分からないことを調べて一生懸命読む人。
めちゃくちゃ真面目なタイプです。
しかし友人と話していて思うのが、実はこのタイプの人は読書が苦手なタイプが多い気がします。
完璧主義者すぎて、読書に楽しみを見出せなかったり、分からなないまま次に行くのが許せないので本を読むことに疲れちゃうんですねー。
そして、最後のパターン。
これが私で、とりあえず分かったことにして読むというやつです。
まず前提として、私は基本的に分からないこと知らないことが出てきたときにテンションが上がるという性質を持っています。
なんというか目の前にまだ見ぬ海が広がってる感じといいますか、世界は広がっている気がするんですね。
しかし、いちいち調べるのが面倒くさい、時間がもったいないという業は生きてるので、字面から判断して、分かったふりをして次に進むわけです。
とまあ、そんな感じなので最初に「歴代総理の通信簿」を読み終わったときは、読み終えた満足感があるだけで、ほとんど何も分かっていませんでした。
しかし、その都度調べるのは面倒くさい私ですが、ふとした空き時間に頭に残ってることを調べるのは得意なので(そんなもの苦手なやつはいない)徐々に知識は積みあがっていくんですね。
また調べた内容が基本的に私は思考のアンテナが違う次元をさまよっているので、全然想像と違ったりして、その違いもまた楽しかったりするのです。
そんなこんなで、総理大臣関係の本を分かってるふりをして読み進めていくと、あるとき大半のことがほとんど分かってるようになってることに気付くわけです(時間はかなりかかるよねー)
こんな感じで私は、歴史とか政治とか時事の知識を積み上げてきたわけですが、自分で書いてみても、まあいい加減です。
しかし大学時代の自分に比べれば、間違いなくレベルアップはしてるわけで、私はこの「いいかげん力」で生きてきたことを痛感します。
話は変わり、私は最近、哲学のことを知りたい!と思い、本を一冊買ったのですが、これがまじで分からないことのワンダーランド!意味不明の桃源郷!異世界を宇宙船で50週旅行!!ばりの内容でした。
その本が分かりづらいということではなく、哲学の用語が非常に独特なものが多く、どうしたって前提知識は必要になってしまうのです。
私は「アウフヘーベン」というワードを目にしたとき、ヨーロッパの白い巻き髪の音楽家が、バウムクーヘンに囲まれた世界でニヤニヤしてる絵が浮かび、しばらくその音楽家とその世界を旅していました。
「モナド」は宇宙を映し出す鏡みたいなものだという説明をされても、ミスド、マクド、モナドの三段活用を鏡の顔をした異星人が、古文の教科書を片手に教えている絵が自然に再生されます。
今回ばかりは、さすがにこの脳内旅行を続けると、本を読み終えるどころか、人としての人生を終えて、違うステージに行ってしまいそうなので、毎日30ページずつ、どうしても分からないことを調べて読み進め、なんとか読了しました。
とはいえ、やはりしっかり調べてるわけではないので、まだわからないことだらけなのです。
しかし私は、時間がかかってもきっと哲学をマスターする!!
この心意気だけはあるんですねー(ならばもっとしっかり勉強しやがれ)
勉強の仕方は人それぞれだから、私はこれでいいんだ!と無理やり納得させていたら、アイスコーヒーにミルクではなく、間違ってレモンを投入してしまい、悲しみの中でパソコンを打っている私なのでした。