最近、ふとした時に遺伝子の事を考えます。
全ての生物を作る、細胞の中にある情報・・・
人間には約22000個あると言われる遺伝子・・・
最近は、シャワーがお湯に変わる待ち時間や、歯を磨いている時、ガムを噛んでいる時、グミを食べている時、ウォシュレット利用時など、あらゆる場面で遺伝子のことに思いを馳せてしまいます。
遺伝子やゲノムの情報を遡って、人種の歴史的起源を辿る書籍みたいのを最近読んだのですが、もし自分を遡ったら一体、何に辿りつくのでしょうか。
そんなことを考えていたら一つとても恐い想像をしてしまいました。
もし、もしもですよ。
お前の遺伝子は、約2億5000万年前のペルム紀の、巨大トンボだ!
と言われた日のことを考えると、恐ろしくて夜も眠れません。
石灰紀~ペルム紀というのは巨大な昆虫たちが地球に、優雅に君臨していた時代です。
そして、ワタクシゴトで思うのは
私は生まれてから一度も高所を恐いと感じたことが無いのです。
むしろ高ければ高いほどテンションが上がる、高所依存症。
そしていつも友人に言われるのが
「お前の視線は常に宙をさまよっている」
ということです。
自分ではそんな感覚は無いのですが、仲が良くなる友達にかなりの確率で言われます。
もしかしたら、私は無意識で2億5000万年前の空に思いを馳せているのでは?
そう考えるとなんだか辻褄が合う気がしてきてしまうのです。
そこからさらに私は考えを飛躍させました。
遺伝子やゲノムということを、あまり知らないくせに自分の脳内で色々考えた所(けっして深くは調べないのが私という人間)
遺伝子を2択で狭めていくと、とんでもないことになるのではないか?
ということに考えが至りました。
例えば、「そばかうどんか」「コーヒーか紅茶か」「お米かパンか」などの好みを、遺伝子から探るのは可能の様な気がします。
そして、二つのうち、強いて言えば、あくまで強いて言えばですが
ヘビよりカエル
クラゲよりナマコ
シイタケよりブナシメジ
のどちらの方に近いかを二択で言うのなら可能であるように思うのです。
これをメディアがお得意の、都合のいい部分だけを切り取る戦法でカスタマイズしてみると・・・
私は、カエル、ナマコ、ブナシメジ寄りのホモサピエンスです。
というクラスで大人気になる自己紹介も可能になるってなもんでしょう。(誰も周りにいなくなる可能性もアリ)
さらに、もし時代が進んで、遺伝子情報が簡単に解析・読み取れる、「ゲノム読み取りメガネ」みたいなものが販売されたとします。
しかしこれは諸刃の剣で、昨日何を食べたのか、どんな映画や本が好きか、排便のサイクル等
ありとあらゆる恥ずかしいことを含めたパーソナル情報が、真っ裸にされてしまうメガネなのです。
しかしだからこそ「他人のゲノムを見たくてたまらない」というゲノム欲が社会を覆うことになります。
自然とゲノムを読むのは、親しい間柄、おそらく恋人同士にしか許されない儀式みたいになっていくのは道理です。
「昨日彼と初めてゲノムしちゃったのよ」
「えー、良かったね。やっと思いが通じたんだね」
これはプラトニックゲノムの例です。
「何か、飲み会で盛り上がってつい勢いでゲノムしちゃったんだよなあ」
これはワンナイトゲノムでしょう。
また
「あの男、まじで誰とでもゲノムするのよね」
とか
「あの女、付き合って半年なのに、まだゲノムさせないんだぜ」
等のゲノム観念の固さ、緩さは個人によって差が出てくることになるでしょう。
よしんばゲノム情報を読み取れるだけでなく、改良を加えることが出来るようになったら、さらに大変です。
医者になれる位の頭脳、一流アスリート並みの筋力、発明をポンポン生み出せる頭の柔らかさ
このようなゲノム情報を詰めた「飲むタイプのカプセル」が出来たら、いよいよ新時代の幕開けでしょう。
そして、ゲノムの情報を理解し、カプセルを作れる人を社会はゲノムマスターと呼ぶようになります。
本当に賢くて、あらゆる科学知識がないとゲノムマスターにはなれず、世界に100人いるかいないかといわれるのがマスターたちです。
しかし、あるときカプセルを飲んでも、効果が発動しない事態が発生。
どうやら原因は遺伝子のグルグルしたバネのスプリング部分が弱くなっていたということが理由らしい・・・
しかし、ゲノムマスターは中の情報の知識はありこそすれ、形とか外側のメンテナンスは専門外です。
そこで出てくるのが、ゲノム職人の最高位、ゲノムマイスターです。
手先が器用で、プロの科学職人である彼らは、まるで壊れた玩具を直すようにゲノム情報の形を直します。
そしてオリジナルの靴を作るかの如く、ありとあらゆるゲノムに、それぞれ違うデザインを施します。
顕微鏡で見ると、幾百通りもある様々なタイプのバネのデザインの違いが楽しめるようになりました。
しかし、今度困ったことになるのは体臭の問題です。
マスターもマイスターも、ゲノムの組み合わせがどんなにおいを発することになるのかというのがまるで分からないのです。
そこで登場したのが、様々なゲノムをブレンドし、香りを提供するゲノムバリスタです。
これにより、人間界はものすごく心地の良い香りと風味に包まれることになりました。
そしてとうとう、ここでゲノム史上における画期的な事件が起きます。
あるとき、ゲノムマイスターが、パリのシャンゼリゼ通りの様なおしゃれなゲノムのバネをデザインしていたとき、誤ってゲノムを、お祭りで買った水あめの中に落としてしまいます。
するとなんということでしょう。
そのシャンゼリゼゲノムが、みるみると巨大化していくのです。
なぜ水あめに入れると巨大化するのかは、現時点でも科学的解明はされていません。
しかしここに、ゲノムモンスター、略してゲノモンが誕生することになったのです。
人間を攻撃する意志はなく、ピョンピョン跳んで可愛い小型犬サイズの彼らは、瞬く間に人気になり、ゲノモンブームが巻き起こります。(一番人気はシャンゼリゼタイプ)
そして子供たちの間では、自分のゲノモンたちを戦わせるゲノモンバトルが流行します。
そしてゲノモンバトルを嗜む者たちをゲノモントレーナーと呼ぶようになっていくわけです。
世界にある10のゲノモンジムのジムリーダーを倒したものだけが、ゲノモンマスターになれるという噂に子供たちは熱狂、大人たちもゲノモンバトルに夢中になる始末です。
さて、ここまで色んな事を考えてきたわけですが、最大の問題はいつの間にかお昼を過ぎており、私のお腹は空腹のあまり悲鳴を上げているということです。
てなわけで、今からカップラーメンを食べます。(おしまい)