長らく文庫化していなかったガルシア=マルケスの「百年の孤独」が文庫化し、書店で売り切れが続出しています。
正直な話、最近日本のあらゆるニュースやトピックに絶望している私としては、これはめちゃくちゃ嬉しいニュースでした。
かくなる私は、書店でたまたま見かけた瞬間、話題になる前に即買ったのですが、まさかここまで売切続出になるとは思っておらず、流行に乗ろうと思ってもまるで乗れない私にとって、世間と同じムーブに乗っているということももた、嬉しさポイント爆上げでした。
↓金色の装丁デザインが素敵
何で嬉しかったのか、その理由を自分で考えてみたところ、本屋に元気がない時代で、漫画とかアニメ化している作品ではなく、世界的な文豪の過去の古典的名作が売れていることに、久しぶりにエンタメや本の未来に希望を感じることが出来たのが、理由なのだと思います。
「百年の孤独」は、ホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ・イグアランの夫婦から始まるブエンディア一族の100年の出来事を描いた小説です。
本作は100年に及ぶ一族の年代記であり、そこに摩訶不思議な要素、あらゆる人間の業、戦争などがとんでもない密度で詰め込まれる作品で、正直私は今だかつてこんなに濃くて、形容しがたい面白さと不思議な哀しみをそなえた作品を読んだことが無く、かなりド級の衝撃を受けました。
私は「百年の孤独」の様な、あらゆる出来事が詰め込まれた作品を勝手に「総合小説」というジャンルに設定しています。
トーマス・マンの「魔の山」は、サナトリウムで繰り広げられる対話型の総合小説だし、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」は、信仰を軸にした総合小説だと思っています。(ダンテの神曲やゲーテのファウストは総合小説の金字塔であり元祖だと思う)
私は上記の作品どれも大好きですが、その上で一番、破壊力があり、想像力の可能性や人間の哀しみを包括しているのが本作だと思うのです。
一族内で同じ名前が繰り返されますし、決して読みやすくはないですが、本当に面白く、何かが得られる読書体験が待っているので、是非読んで欲しいです。
今回の「百年の孤独」が売れたことは、皆が本質的に、本当に価値のある言葉や世界的名作を心の奥では求めている現れなのかなと思うと、本や書店の未来右はそんなに暗くないのかなと少し希望が持てました。
これを機に、世界的名作の文庫化ブームが来たら最高だな、そんな事を思う今日この頃でした。