<雑記>金平糖戦線膠着中

雑記

生きていたら、とかく嫌な事は沢山ある。

そんな時、私は金平糖を噛む。

あの惑星のような形状に突起が取り囲んだ球を、じゃりじゃりと思い切り噛んでいく事で、私の中にあった毒素がどんどん、歯の隙間から、宙空へと漏れ出し、霧散していく。

もちろんだが、ただ噛めばいいというわけではない、ストレス解消にもそれなりの作法があり、それを失うと、予期せぬ体の不調に陥ったりするものだ。何事も油断は大敵で、きめやかな心遣いが大事になる。

さてその作法についてだが、簡単に言うと、噛む時の心構えに関する事だ。

大事なのは、あらゆる良心や道徳、思考を全て投げ打ち、破壊者に徹する事だ。それはより非道で非人道的な方がいい。

私の場合だと、金平糖を一つの惑星に見立て、その上に、ギザギザ型の金平糖星人が何万人も住んでいる事を想像する。

そしてそれらの全ての破壊者である事を誇示するかのように、じゃりじゃりと何のためらいもせずに、歯を立て、金平糖を粉々に破壊していくのだ。じゃりじゃりは快楽、じゃりじゃりは反射。

この時ばかりは、何の力も無い私も、幾つもの惑星を破壊してきたフリーザ様と同義になる。

そして袋の中の金平糖をフリーザ様でも不可能なスピードで破壊していく時、私は宇宙に君臨する。現代のストレスというのはこれくらいの事をしないと解消できないのである。

さて、これはストレス解消という名の、ある種の超自然現象、宇宙的連鎖の一種であり、個別具体的な次元とは、軌を一にしている。

もう少し、レンズを拡大して個別具体的な事由に目を向けてみよう。

第47星系、金平糖銀河群。

超自然災害、ホワイトトゥース(カタカナにすると春日感強め)の対応を迫られる、金平糖星では、金平星人が突然の発表に衝撃を受けていた。

いきなり上空から巨大な白い岩が現れ、惑星を破壊するこの現象により、金平糖惑星連合の5割が既に破壊されていた。

当初、ホワイトトゥースは、科学的に解明不可能な自然現象だと思われていたが、スパイからの情報から、これは歯並堅守同盟の巨大兵器である事が発覚。

思えば歯並堅守同盟率いる、大臼歯星人と金平星人は、様々な事柄で対立してきた。

伝統と秩序、自己責任を信奉する大臼歯星人。一方で、快楽と連帯を旨とする金平星人。ついにこの対立が臨界点を迎え、不意打ちで戦の号砲を上げたのが、ホワイトトゥースだったのだ。

金平星人が驚愕したのは、他の惑星のデータでは、ホワイトトゥースは、冬に打たれることは一度も無かったことだ。

そしていつもなら、金平星人が宇宙に退避する為に、公示してから、それが放たれる前に、かなりの時間があるのだが、今回は1月27日公示、2月8日に発射と、約二週間である。

その意味で、これは歯並堅守同盟による完全な不意打ちだった。

そんな中、金平糖星では、各勢力の有力者たちの話し合いが行われる。しかし意見はまとまらず、話し合いは混迷を深めていた。

「あいつらはめちゃくちゃだ。なぜこの寒い時期にやらなきゃいかんのだ」

「それよりも我々の今までの無策に関し、自省を促すべきでは」

「何だとこのチョコレート面」

「ふふっ、このご時世にルッキズムですか、金平星人の風上にもおけませんね」

「何を・・・」

ズシン

じゃりじゃりじゃり

じゃりじゃりじゃり

じゃりじゃりじゃり

じゃりじゃりじゃり



<遠い未来の為の手記>

私は今日も金平糖を噛む、既に金平糖は崩れ去り、そしてそれを噛む歯も、私には一本もない。一体私の何が、どこが悪かったのだろうか。

崩れた歯の傷から入った毒素で私の心臓はそろそろ動きを止めるだろう。

死ぬ前に私は思う、何も考えずただ噛み続ける以外の人生を選べば良かった、全てが糞でも選択するべきだった。私はもう少し考えて、意志を示すべきだったのだ。

若い人よ、金平糖を噛む時は考えるのだ。そして充分に噛んだら、行動せよ。

その後、その部屋は崩れ去り、惑星にはただ、廃墟だけが残った。

(おしまい)

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