このまえ池袋に行った時に、ワンコインで食べれるリーズナブルなチェーン店の中華料理屋に入ったのです。
そこでコチュジャン入りの辛チャーハンを頼みボーッとしている私にその光景は飛び込んできました。
そうです!
目の前の学生風のメガネの男性が一人で、天下一武道会の宴を繰り広げていたのです。
説明すると、天下一武道会とは漫画の「ドラゴンボール」で悟空が出る武道の大会で、毎回その大会が終わると会場にある中華料理屋で打ち上げ会らしからぬ食事会が行われるのです。
そして悟空たちのテーブルにはあらゆる種類の中華料理が並び、そしてそれを悟空が怒涛のスピードで平らげていくわけです。(優勝した亀仙人の賞金が全て飛ぶくらい食べる)
その光景は私の中で、食事の理想の桃源郷として、憧れと共に焼き付いていたのですが、それを目の前の明らかに線の細い男性が独力で行っているのです。
テーブルの上に、チャーハン、餃子、ラーメン、ホイコーローなどが次々と並んでいる光景は、なかなか圧巻で、何よりここがテーブルが回るような中華料理屋ではなく、チェーン店というところが異化効果を付与し、目の前の光景がマジで漫画みたいに見えてきます。
私は勇気を出して
「ははん、さてはあなたは著名なフードファイターの方ですか」
とか
「その食欲・・・もしやあなたは生粋のサイヤ人なのですか」
などと声をかけたかったのですか、タイミングもチャンスもなく、私は上の空で自分のチャーハンを食べて店を出たのです。
しかし思うのはバイキングというのは、なぜこうもテンションを上げる力を持つのかということです。
いくつもの料理がウィンドウショッピングのように並び、そしてそれを無制限に食べれるというワクワク感は、他のことでは変えようのない高揚感をもたらすと思うのは私だけでしょうか。
しかしそんなバイキング好きの私にも最近、由々しき事態が持ち上がりました。
そう年々、私の胃袋は明らかに縮小の一途を辿っているのです。
昔は悟空とは言わないまでも縦横無尽に、大胆不敵にバイキング会場を上下左右に飛び回っていた私。
しかし今は、お皿に料理を並べ2週位した程度で、満腹感が襲うような体になってしまいました。
食費にかけるお金が減るのでコスパが良い体とも言えるわけですが、そこはかとない悲しさがあります。
そんなこんなで池袋の街を歩きながらバイキングについて色々考えていた私ですが、ふと思ったのは、生物にはそれぞれのバイキングがあるのではないか?ということです。
色んな生物が、人間の見えないところで思い思いのバイキングに興じていることを考えるとなんだかほっこりしてきます。
たとえば野生のキリンたちは、赤茶けた岩の上に、いくつもの草を並べてオーガニックバイキングを行っているでしょう。
アリクイたちは、切り株の上で沢山のアリを並べて昆虫食バイキングに興じているかもしれません。
桃太郎たちは鬼退治の打ち上げはもちろん、きび団子だけでなくみたらしや、あんこなど様々なフレーバーを、串に刺さった団子につけることが出来る、串団子バイキングでしょうし。
ドラえもんズは、どら焼きの中に、コチュジャンやオリーブオイルなど各国の調味料を加えた多国籍どら焼きバイキングに夢中です。
吸血鬼たちは、バイキングというよりはブラッドドリンクバーですね。
そしてi-phoneたちは、お皿の上に様々なモバイルバッテリーが並び、いろんな種類の電気を楽しめるモバイルビュッフェを楽しんでいることは間違いありません。
なにはともあれこんなにも我ら生物の暮らしを、喜びと希望に包み込んでくれるバイキングに感謝して今回の雑記を終えます。←さてはコイツ感謝して終わればどうにかなると思っているな